研究課題/領域番号 |
20K02349
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
武川 直樹 東京電機大学, システムデザイン工学部, 研究員 (20366397)
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研究分担者 |
斎藤 博人 東京電機大学, システムデザイン工学部, 教授 (00328519)
大島 直樹 豊橋技術科学大学, エレクトロニクス先端融合研究所, 講師 (30732820)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | コミュニケーション支援 / 共食 / 高齢者 / センサ / エージェント / 支援システム / QoL / 高齢者家族 |
研究開始時の研究の概要 |
離れて住む高齢者の親世帯とその子供世帯間が,互いの忙閑の様子をセンサ情報から共有し,得られた情報から会話開始のタイミングを調整し,共食に接続されるサービスの実現を目標とする.ユーザの日頃の活動のパターンや意識に基づくコミュニケーションモデルを構築する.構築したモデルから,家族間のコミュニケーションするための心理的バリアの遷移,適切なコミュニケーション開始のタイミングを明らかにする.このモデルに基づいて,ユーザのコミュニケーションの欲求と,忙しさやプライバシーのトレードオフを考慮したユーザ中心のシステムをデザインする.システムを構築し,ユーザ宅に導入し実験して高齢者のQoL向上の効果を確かめる.
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研究実績の概要 |
離れて住む高齢の親世帯とその子供世帯間が,センサ情報から互いの忙閑の様子を共有し,得られた情報から会話開始のタイミングを調整し,共食に接続するサービスの実現を目指す. (1)会話開始手順理論の構築:ビデオによる会話・共食を始める前のユーザ同士の都合と用件の有無の確認手順が,「音声電話の会話開始手順」(Schegloffの研究)と類似する構造を持つことを発見し,本研究の理論的背景を明確化した. (2)プロトタイプの構築:前年度までに構築した遠隔映像会話・共食システムのプロトタイプを上記プロトコルと整合するよう改良した.双方の自宅に設置されたシステムにより,忙閑の状況を遠隔地の相手に発話エージェントが通知し,あるいはユーザがエージェント介して相手側の忙閑を尋ねる機能により会話の開始を支援する機能の動作を確認した.システムコンセプトを情報処理学会CN研究会で報告し,ベストポジションペーパー賞を受賞した.(3)遠隔会話開始を支援する実験:構築したシステムを用いて1組の親子(80歳代の高齢母親と50歳台の娘)を結ぶ,3週間の実験を実施した.システムログ,行動記録,インタビューを通して,テレビ電話を用いた雑談コミュニケーションが相互の忙閑,会話の用件を確認して自然な流れのなかで始まることが示された. センサとエージェントを用いる本システムでのテレビ電話の開始の手順がSchegloffの電話の会話開始の手順と対応することが示唆され,映像コミュニケーションシステムのデザインの知見として重要な結果が得られた.一方,実験協力者間での会話は多く開始されたが,同居家族の関係から共食には至らなかったことが課題として残った.COVID-19により高齢者の実験協力者を得ることが難しく,事業期間をさらに1年延長し,共食のモチベーションを持つと思われるターゲットユーザでの実験を令和6年度に実施することとした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理論構築,システム構築については順調であった.Covid19のため実験協力者が一組のみであったため,次年度の追加実験をする必要があった.
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は,実験対象となる親子家族を追加募集し実験を実施する.実験後,結果を分析し,ユーザの会話・共食に至る行動の遷移モデルを修正,詳細化して,システムデザインの知見をまとめる.成果を査読あり論文としてまとめる.
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