研究課題/領域番号 |
20K02353
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
落合 信寿 産業医科大学, 医学部, 助教 (90386649)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 安全色 / 色覚 / リスク認知 / 先天色覚異常 / バリアフリー / ユニバーサルデザイン / 高齢者 / 再現性 / 多様性 |
研究開始時の研究の概要 |
日本産業規格(JIS)の安全色は、これまで国際規格ISOとの整合化が図られていたが、2018年改正の新規格では、色覚バリアフリーに対応した独自のユニバーサルデザインカラーを採用したため、国際規格と一致しなくなった。 本研究では、潜在危険度を評価指標として、新規格安全色の有効性をリスク認知の観点から検討する。定量的色覚検査法Cone Contrast Testを用いて、色覚特性の異なる正常色覚者、高齢者、眼疾患患者、先天色覚異常者の各群間で、安全色に対するリスク認知の比較評価を行う。 色覚の多様性への配慮に対する新規格安全色の効果と限界を実証し、国際整合化に向けた規格改正への提案を行う。
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研究実績の概要 |
日本産業規格(JIS)の安全色は、2018年の改正において色覚バリアフリーに対応した新しい色に変更された。本研究は、多様な色覚特性の人々を対象に、2018年改正の新規格及び2005年改正の旧規格間での安全色に対するリスク認知の差異を比較することにより、新規格安全色の有効性を検証するものである。 本年度は、先天赤緑異常15名、正常色覚14名を対象に、新旧安全色のリスク認知について比較検討を行った。昨年度と同様、質問紙法により、JIS Z 9103に規定された新規格と旧規格の安全色12色及び対比色2色の色票に対する潜在危険度評価、色名による色同定を行った。また、カラーチャートを用いた色票の色同定、色覚特性を把握する目的で種々の色覚検査を実施した。 色覚検査の結果、先天赤緑異常15名のうち、1型は3名、2型は12名で、強度異常は10名であった。潜在危険度評価は、安全色(6色)、規格(新旧)、色覚(先天赤緑異常、正常色覚)の3要因分散分析を行った。その結果、安全色と規格の交互作用が有意であった。色覚の要因は、主効果、交互作用ともに有意ではなかった。多重比較検定の結果、赤は旧規格のほうが新規格よりも危険度が有意に高かった。また、旧規格の赤は他の5色よりも危険度が有意に高かったが、新規格の赤は黄、赤紫との間で危険度の差が認められなかった。色名による色同定の結果、色名「赤」で同定された割合を比較すると、旧規格の赤は先天赤緑異常87%、正常色覚93%であったが、新規格の赤は先天赤緑異常40%、正常色覚29%と顕著に低かった。 これらの結果から、高齢者と同様、先天色覚異常、正常色覚においても、新規格の赤は、旧規格色よりも安全色としての有効性に乏しい可能性が示された。先天色覚異常は強度異常が過半数を占めたが、安全色に対するリスク認知は、正常色覚と顕著な差異はみられないことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、本研究の要である先天色覚異常を対象に調査研究を実施した。当初から先天色覚異常を有する対象者の確保は困難であることが予想されたため、異なる複数の募集方法を併用して、ある程度の人数は確保することができた。しかし、希少な属性を有する対象であるため、当初の目標人数を達成することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の妥当性・信頼性を向上させるには、先天色覚異常を有する対象者を1名でも多く確保していくことが重要である。対象者を確保するための方策として、学生への告知による募集の他に、被験者募集支援業務を行っている民間企業に対象者募集の一部を委託するなど、複数の募集方法を併用していく予定である。
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