研究課題/領域番号 |
20K02361
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
難波 知子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (80623610)
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研究期間 (年度) |
2020-02-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 女子師範学校 / 体操服 / セーラー型 / ブルーマー / 来歴 / デザイン / 女子体育 / 洋裁技術 / 女子体操服 / 改良袴 / 高等女学校 / アメリカ / スポーツウェア / gym suit / dress reform / 服飾史 / 体操教育 / 身体 / 女性像 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、20世紀初頭に女子高等師範学校の体操教員・井口阿くりがアメリカ留学より持ち帰ったセーラー・ブルーマー型の女子体操服が日本でどのように着用され、女性の身体や衣服をめぐる議論や実践を引き起こしたのかを検討することを通して、欧米の女性服との同期の過程や日米における女性像の差異を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年度は、体操服の復元に取り掛かる予定であったが、適切な布地の選択・入手がかなわなかったため、次年度に持ち越し、代わりにセーラー・ブルーマー型体操服の全国の女子師範学校への普及状況の調査を進めることとした。 本年度は、47府県のうち35府県の女子師範学校について調査を実施した。このうち、セーラー・ブルーマー型体操服の着用が確認できたのは、青森・新潟・石川・茨城・栃木・群馬・埼玉・東京・神奈川・愛知・三重・奈良・鳥取・広島・徳島・福岡・熊本の17府県であった。北は青森から南は熊本まで全国各地でセーラー・ブルーマー型体操服の着用が確認でき、女子師範学校という学資が支給される教員養成の女子教育機関に限定的な実施ではあるが、地域的に広く普及していたことがわかった。 セーラー・ブルーマー型体操服の着用が確かめられた熊本県女子師範学校については、熊本県立図書館にのみ所蔵されている熊本女子師範学校関係資料を調査した。その結果、ほかの府県の資料では確かめられなかったセーラー・ブルーマー型体操服に対する着用者(学生側)の印象や評価が判明した。熊本県女子師範学校の女子生徒の間では、体操服について「墺国水兵の様だとの評を受けては、もういやでいやでたまりませんでした」(大正10年の4年生)、「その頃の運動時間には、師範生は霜ふりの運動服、俗に唐米袋などと言ってゐた異様なものを着て」(大正11年まで着任していた教員)と言及されており、好ましく受け入れられていなかった様子が窺えた。学資支給であるからこそ、女子師範学校では着用が実現できたといえ、高等女学校や小学校女子にまで普及する見込みが薄かったものであったことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初予定していた体操服の復元について、材料となる布地の入手が予定通りに進まなかったため、次年度に見送り、代わりに本年度は、全国の女子師範学校にどの程度、セーラー・ブルーマー型体操服が普及していたかの調査を進めることとした。しかし、47府県の資料を丹念に調べるのに時間がかかり、本年度は47府県中35府県の調査にとどまった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、調査が実施できなかった12府県(北海道・島根・山口・香川・愛媛・高知・佐賀・長崎・大分・宮崎・鹿児島・沖縄)について、引き続き、資料収集と調査を進め、その成果を学会発表・論文投稿する予定である。 また本年度実施できなかった復元品の制作と復元品を着用しての動作確認の検証を進めたい。復元品に使用する布地については、当時資料されていた布地の特性を正確に把握することがむずかしいため、暫定的にシーチングを用いて進めることとする。
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