研究課題/領域番号 |
20K02365
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
鋤柄 佐千子 京都工芸繊維大学, 繊維学系, 教授 (30216303)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | テキスタイル / 癒し / 触感 / 視感 |
研究開始時の研究の概要 |
ストレス社会に暮らす人々をとりまくテキスタイルは、機能とデザインの満足感だけではなく、さらに安心感や愛着をもたらす生活材料へと向かう。その課程には、曖昧で数値に表しにくい感性を考慮した設計指針が必要である。本研究の目的は、人間の感触や好み等、テキスタイルの根幹にある価値、たとえば“癒し”や記憶に残る布の要素を表現する指標を素材物性、人の感性評価を用いて明確にすることである。その手法として、触感、視感、情動をみつけるための感性評価実験を、対象とするテキスタイルの見せ方や触り方、客観的な指標として指の動きの軌跡と力や布から受ける振動などを総合して行う。
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研究成果の概要 |
本研究は、「ひとに安心感や愛着を与えるテキスタイルデザインが明確になれば、心の「癒し」に働きかける効果をもたらすことができるのではないか?」という学術的問いの解明である。「癒し」と強い相関を持つ評価語は、視感・触感評価共に嗜好や心地よさ、また布の柔らかと関係が強い。「癒し」と最も相関の高い物性は表面特性であり、布構造では、ファーやパイル構造で、指の動きに対する柔軟な変化が有効である。人が指を動かしながら感じる「癒し」の評価に、指と布間の接触振動の変化を示す特性値(Delta power)を設定した。その結果、Delta powerの値が小さい試料ほど、「癒し」を強く誘発していることがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
身近に日常接するテキスタイルから、安心感や癒しを感じることができれば、閉塞した社会における心のリラクゼーションに寄与できる。本研究の結果は、柔らかいファーなどに代表される布が、指の動きによって布の表面がなめらかに変形することで、指と布間に生じる接触振動が小さく、「癒し」を感じさせる要素になりえることを実験的に示している。また、「癒し」の評価に対する個人差が他の評価語対に比べて小さいことからも、布に対する評価者間に共通の基準が存在することが示唆された。今後は、データを布の設計に応用することで、愛着や安心感を使用者に与える商品開発にも応用できるのではないかと考える。
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