研究課題/領域番号 |
20K02409
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 福岡女子大学 |
研究代表者 |
庄山 茂子 福岡女子大学, 国際文理学部, 教授 (40259700)
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研究分担者 |
小松 美和子 尚絅大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (80815639)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 反射材 / 交通事故 / 高齢ドライバー / 色彩 / 視認性 / 高視認性安全服 / 小中高生 / 高齢者 / ヒヤリ経験 / 薄暮時 / 建設機械 / 作業服 / 安全性 / デザイン |
研究開始時の研究の概要 |
我が国では、建設業等における重大事故を未然に防ぐ対策として2015 年に高視認性安全服の規格「JIS T 8127 高視認性安全服」が制定されたが、事故は依然として多い。また、近年では高齢運転者よる交通事故も多発している。特に、薄暮時間帯の交通死亡事故が多い。 そこで、高視認性安全服と反射材グッズに着目し、労働者や市民の安全を守ることを目的に、色彩の誘目性や視認性ならびに感性的視点から高視認性安全服と反射材グッズの活用実態の問題点を検証し、その結果を踏まえて有効な活用指針を策定し、安全な社会づくりに貢献する。
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研究実績の概要 |
交通事故防止のために熊本県内の小学生、中学生、高校生を対象に反射材の活用実態を調査した結果、交通死亡事故率の高い薄暮時に、中高生は61~64%、小学生は40%が反射材を身につけていないことや反射材を身につけていてもヒヤリ経験をしていたことから、反射材の効果が充分でないことが示唆された。 そこで、2022年度は、夜間の歩行者の視認性を高めることを目的に、携帯しやすい反射材用品の色と着用位置を検討した。5色(ピンク、オレンジ、イエロー、グリーン、ブルー)の市販の反射材を、「手首」、「足首」、「手首+足首」の3パターン着用してもらい、距離10~100mまでを10m間隔で撮影した画像を作成し、女子学生20名に、人と反射材の視認性を7段階で評価してもらった。色では、イエローとグリーンの評価が高く、ブルーの評価が低く、着用位置では、「手首」着用の評価が有意に低かった。 次に、高齢ドライバーによる交通事故が多発していることから、事故防止を目的に女子大学生20名に高齢者擬似眼鏡を装着してもらい、同様の評価実験を行った。色では、イエロー、オレンジ、グリーンの評価が高かった。3つの着用位置の比較では、「手首」より「足首」「手首+足首」、「足首」より「手首+足首」の評価が有意に高かった。反射材は色だけでなく着用位置により、反射材の視認性効果が向上することが示唆された。 さらに、二つの評価実験の結果を比較した。人と反射材の視認性を比較した結果、共通して、ブルーの反射材を除く4色は、人より反射材の評価が有意に高かった。ロービーム照射40m地点で視認性評価が3.5(「かろうじて見える」と「やや見える」の間)以上であった色は、若齢者群ではオレンジ、イエロー、グリーンで、擬似高齢者群ではイエローであった。着用位置は、若齢者群と擬似高齢者群ともに「手首」着用の視認性評価が最も低かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、高視認性安全服と反射材グッズに着目し、労働者や市民の安全を守ることを目的としている。2020年度から2021年度は、労働者の視点から、画像処理ソフトを用いてシミュレーション画像を作成して建設現場における視認性の評価実験を行い、その結果を報告した。2021年度から2022年度は、夜間の交通事故から市民の安全を守るために、歩行者の立場から小学生、中学生、高校生の反射材の活用実態を明らかにしたうえで、高齢ドライバーならびに若齢ドライバーから視認しやすい反射材の色と着用位置について、評価実験を行いその結果を報告した。 労働者や市民の安全を守る点から評価実験を行い報告できたことから、おおむね順調に遂行していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
夜間にドライバーの視点からみた反射材の視認性を評価した結果、明度の高い反射材を「手首と足首」に着用することが有効であることが明らかとなった。また、Blombergらの研究では、ロービーム照射運転において反射材を着用することで視認距離が長くなることも明らかとなっている。交通事故総合分析センターによると、降水時における人対車両事故で横断歩道横断中の死者数は、非降水時と比較して1.31倍に増加したことが明らかにされている。夜間の周囲が見えづらい状況に降水条件が加わることで、さらに視界が見えづらい状態となり、交通死亡事故につながっていると推察される。 これらのことから、降雨時においても反射材を着用することで、交通事故防止に有効と考えられるが、傘の視認性を高めることで、より一層その効果が期待できると思われる。そこで、今後、交通事故防止を目的に、夜間の路上において異なる傘の色や反射テープの有無および反射テープの形状の違いによって、雨天時に使用する傘の視認性にどのような違いがみられるか検討する。
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