研究課題/領域番号 |
20K02411
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 酪農学園大学 |
研究代表者 |
舩津 保浩 酪農学園大学, 農食環境学群, 教授 (90382481)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 発酵調味料 / 消費者 / 嗜好 / 品質特性 / 可視化 / 抗酸化 / 定量的記述分析法 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、魚醤油などの発酵調味料は多様な発酵法での製造によって未・低利用水産資源の有効活用につながっている。一方、食に対する関心の高まりから消費者のニーズは多様化しており、生産量の伸びが低迷している。製品は地域によって異なっており独特で複雑な風味が醸し出されているが、消費者の嗜好性と製品の品質との関連が不明瞭であるため一部の地域での小規模な生産と普及に留まっている。本課題では消費者のニーズに対応した製品の評価方法の創出と地域産業の活性化を目指し、種々の発酵調味料のケモメトリックス手法による消費者の嗜好評価を行い、製品の品質との関連性を明らかにする新たな多変量解析方法を提供する。
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研究実績の概要 |
今年度は発酵調味料である北海道産魚醤油製品(12検体)の定量的記述分析法 (QDA法)による官能評価を行った。官能評価パネルは5味識別テストに合格し、嗅覚測定用基準臭の識別ができた人を選定した。パネルは甘味、塩味、酸味、苦味、うま味、コク味を示す物質の濃度を変えて添加した魚醤油を用いて識別の訓練を行った。匂いは魚臭さ、焦げ臭、アルコール臭、燻製様香、カラメル香、たくあん臭、醤油香、油焼け臭、酸臭、腐ったバター様臭を示す標準物質を蒸留水に溶解した溶液と魚醤油に溶解した溶液で濃度を変えてスニッフィングによる識別の訓練を行った。また、パネルは魚醤油試料の匂いを嗅いだ後、記述用語の討論を行い、みりん様の甘い香りと磯の臭いを追加し、18種類の属性を決定した。 上記の訓練を行ったパネル12名(男性:7名、女性:5名、平均年齢:21.6歳)で蒸留水を用いて10倍希釈した12検体の魚醤油の評価を実施した。評価は線尺度法を用いた。パネルは1度に4検体の魚醤油を評価し、3セット実施した(4検体×3セット=12検体)。測定は3度繰り返した。得られたデータはFIZZ Lab/Nomad ver.2.7を用いて統計解析を行った。分散分析の結果、みりん様の甘い香り、腐ったバター様臭、酸臭を除く15種類の属性で試料間に有意差が認められた。クラスター分析から12検体は3つのグループに大別された。主成分バイプロット図 (PC1 vs. PC2) からグループ1(2検体:磯の臭い・酸味)、グループ2(4検体:カラメル香・酸味・醤油香・みりん様の甘い香り)、グループ3(6検体:燻製様香・コク味・塩味・甘味・たくあん臭・魚臭さ・焦げ臭・油焼け臭) に特徴がみられた。これらの官能的特質の違いは主原料と発酵法の違いに起因すると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度は魚醤油製品(12検体)の定量的記述分析法 (QDA法)による官能評価を行った。しかし、全国的な新型コロナウイルスの感染拡大に伴い官能評価パネルの選定だけでなく、訓練の実施も大幅に遅延した。また、訓練中にコロナに感染し、従来の味覚に戻らないパネルも現れた。そのため新型コロナウイルス感染症が5類に移行する次年度に消費者の嗜好性評価の調査を延期した。
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今後の研究の推進方策 |
主原料や発酵法に違いによる製品の品質の違いを明らかにするため成分分析(オリゴペプチド態アミノ酸やメラノイジン等の分析)の追跡調査を行う。QDA法により決定した評価項目を基に9段階のカテゴリー尺度法で評価したデータから消費者の好き嫌いに関する情報を得る。得られたデータより主成分およびPLSプリファレンスマップを作成し、製品の品質特性が地域の消費者のニーズとどのように対応しているかを明らかにする。年齢、性別については官能評価の実施場所などを考慮し、極端な偏りのないように実施する。地域間の違いについてはコロナの感染状況などを考慮して実施する。
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