研究課題/領域番号 |
20K02488
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
櫻 幸恵 岩手県立大学, 社会福祉学部, 教授 (60347185)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | スクールソーシャルワーカー / 雇用形態 / 校内実践コミュ二ティ / 対等性の獲得 / 専門的力量形成 / 実践コミュ二ティ / 参加による学習 / 非正規雇用 / 実践コミュニティ / 物理的空間配置 / 労働のパワーバランス / 環境のアフォーダンス / 専門性の形成 / 状況的学習 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は「参加としての学習」を学習生成のパラダイムとする状況的学習論の視座から、組織や労働への参加の過程を通したスクールソーシャルワーカー(SSWer)の力量形成について調査・分析を行う。①学校現場の実践コミュニティや物理的空間が持つ意味をSSWerの学習との関係から問う。②労働におけるパワーと学びの関係、雇用形態が専門性の形成に与える影響を問う。③異種の専門職の協働と学習の関係性を問う。以上の結果から、雇用形態によるパワーバランスや物理的空間及び実践コミュニティがSSWerの専門的力量形成に与える影響と課題を明らかにし、SSWerの高度専門職としての力量形成を担保する雇用環境のモデルを示す。
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研究実績の概要 |
正規職員10年、正規職員として2年、活動経験計12年間のスクールソーシャルワーカー(SSWer)に半構造化インタビューを実施、逐語分析から以下の点が抽出できた。 校内の専門職同士の「対等性獲得」には「継続雇用によるSSW活動の蓄積」が作用する。活動を契機に校内「実践コミュニティ」へ参加が進み、SSWerは校内システムを学び教員と協働し、的確な課題対応が図れる。一方、教員はSSW的な課題解決方法を学び、専門職同士の学びが「対等性獲得」に繋がる。ただ、確固とした「実践コミュニティ」参加には7-8年を有している。また、キーパーソンである副校長や主幹教諭等と職員室内の同じ島(場所)にSSWerの座席を置く「関与し合う空間の確保」も、教員とSSWerの「学校システムの中での協働」を可能にし、「学校としての意思決定プロセスへの参画」を担保、業務を媒介とした専門横断の双方向の学びあいを生む。 前述の「活動を通した実践コミュニティ参加」や「関与しあう空間確保」「意思決定プロセスへの参画」による学習の生起は非正規でもある程度可能である。しかし、非正規の場合「雇用形態による教員とのパワーバランスの格差」が大きく、教員独特の仲間集団への溶け込みが難しく、異なる専門性を持つ第三者として不安定な立場のまま位置づけられる。本来的な「対等性の獲得」には「正規雇用という確かな足場」が必須である。 また、今回の調査対象者は非正規雇用から正規雇用に移行したが、期限のない正規行政職となったことで「長いタームで課題を考察」でき、予算を獲得し「ソーシャルワークション」を起こせていた。メゾやマクロの視座に則り、組織体制や地域の仕組み自体にアプローチし「提案」「改革」していく、より広範囲のソーシャルワーク展開を可能とする点に正規と非正規の大きな相違点を見出せた。このことは、今回の研究を通して獲得できた新たな視座である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの感染拡大時期に他県のインタビュー調査が思うように進まず、自分自身もコロナ感染後に体調を崩すなどしたため、全体の進捗状況が大幅にずれたことによる
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は遅れていた他県のSSWerインタビュー調査、及び県内の市町村教育委員会の調査結果をまとめ、学会報告、学会誌投稿などを実施する
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