研究課題/領域番号 |
20K02502
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 学校法人文京学院 文京学院大学 (2023) 日本女子大学 (2020-2022) |
研究代表者 |
高橋 舞 学校法人文京学院 文京学院大学, 外国語学部, 准教授 (50735719)
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研究分担者 |
小野 文生 同志社大学, グローバル地域文化学部, 教授 (50437175)
岡部 美香 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 教授 (80294776)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | カタストロフィー / 民衆思想 / 〈生〉の実践知 / 受苦 / 共生の思想 / 花崎皋平 / 霊性感覚 / 沖縄の民衆思想 / 〈生〉の実践地 / 記憶継承 / 共生知 / 生の実践知 / 教育メディア |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、貧困、差別、戦争、災害等による「カタストロフィーの記憶」が、人間の生を阻害ではなく、形成の方へと向かわせる〈生の実践知〉として継承される過程を明らかにしようとするものである。このために、近代教育思想および近代教育思想批判の議論の場において見逃されてきた、民衆の苦しみに寄り添ってきた民衆思想・民衆思想家に着目し、文献研究と共に、民衆思想家への聞き取り調査、民衆思想家が関与して作られている資料館や祭り、映画、学習の場などの「カタストロフィーの記憶」継承に関わるモノ・コトの教育メディア研究による成果を総合し、「カタストロフィーの記憶」を〈生の実践知〉として継承する教育実践理論を構想する。
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研究実績の概要 |
4年目にあたる2023年度は文献研究と共に共同研究者それぞれが水俣、ハンセン病、夜間中学、フクシマ、アイヌ、広島、沖縄等の、カタストロフィを記憶する場を歩き、「場」から抽出される〈生〉の実践知・共生の実践思想を追究し得られた研究成果の一部を国内外で公表することできた。 また2023年度の大きな研究実績の一つとしては、本共同研究の思想的共通軸となる花崎皋平氏の、集大成として準備されている新著(2024年度中出版予定:時期は未定)において、解説(もしくはあとがき)を担当することになった点があげらえる。これまでにも花崎氏の共生の哲学思想は複数の学問領域より追究されてきたが、それらの多くは氏の文献に依拠したものであった。しかし本研究では共生の思想実践者としての花崎皋平氏に同行取材すると共に、数年間に渡り、花崎氏自宅を訪問し寝泊まりをさせていただきながら継続的に聞き取り調査を実施してきた。これらの研究実績により、本研究における花崎氏の「共生思想」は理論としてだけでなく、「言語というコミュニケーションツールをロゴスとしてではなくパトスとして感受し人びとと共に生きた哲学実践」として抽出することが可能になった。 最終年度には共同研究者それぞれが蓄積してきた研究内容を統合すると共に、花崎氏新著出版やこれを基にした座談会等をひらくことにより、人びとの生活実践に貢献する、実践理論としての、共生のための生の〈実践知〉について公表できると見込まれる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は国内外でのフィールド調査に重点を置いた研究計画を持っていたため、2020年度から始発した本研究は、コロナ感染症拡大状況とぶつかり初段階において大きな研究遅延が生じ、研究計画の見直しを迫られた。しかし、フィールド研究を国内に搾り、できるところから有意味な調査を実施することで、現段階に至っては、予想を上回る質の高い調査内容・資料収集が行えたと考える。 ただし、第一に、コロナ渦の中でそうしたフィールド調査時期が当初予定よりも研究期間の後半に集中したこと、第二に、研究代表者が23年度に専任教員として新たな大学に着任し大学での業務が多忙になったことにより、収集したデータの分析や論文化の作業には遅れが生じている。最終年度は蓄積された知見を丁寧に分析し口頭発表や論文化を通して、公表の務めを果たしていけるよう努めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では水俣、ハンセン病、夜間中学、沖縄など、共同研究者がそれぞれにフィールドを持ち、その「場」におこったカタストロフィーと共に生きてきた(生きた)人びとの記憶継承の営みから醸成されてきた〈生〉の実践知を民衆思想と捉え、それらを教育学の可能性として抽出する研究を行ってきた。その成果の一部は既にそれぞれが国内外で公表するに至っている。そこで、最終年度にあたってはそれらの成果を統合させ、それぞれの「場」から得られた知・思想の共通項を抽出し、カタストロフィーの記憶を〈生〉の実践知として継承する教育実践理論創成を目指す。これらをまとめ論文執筆を行うと共に、座談会やシンポジウムでの成果公表にも積極的に努めていきたいと考える。
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