研究課題/領域番号 |
20K02521
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 山形県立米沢栄養大学 |
研究代表者 |
安部 貴洋 山形県立米沢栄養大学, 健康栄養学部, 教授 (50530143)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | 国分一太郎 / 生活綴方 / 戦後新教育 / 自然 / メディア / 生成 / 人間綴方 / 現実探究 / 鶴見和子 / 労働 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、戦前は綴方教師、戦後は教育評論家として活躍した国分一太郎 (1911-1985) の人間綴方と1970年代の自然観を考察することにある。戦後高度経済成長以降の生活の変化は、子どもの生活を対象としてきた生活綴方の在り方そのものを問うことになる。だが生活の変化は、書くことによる子どもの現実探求をより活性化し、子どもの生活を有用性といった狭い視点から解放する側面をもっていたのではないか。これらのことが近年の教育学におけるメディア論、生成論から問われている。そして、この可能性を示唆しているのが、1970年代の国分の人間綴方と自然観であるように思える。本研究では、これらのことを明らかにする。
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研究実績の概要 |
当該年度は、敗戦直後から戦後新教育批判、そして生活綴方復興にいたる国分一太郎の教育論の変化を「国民教育」「自己教育(生活教育)」「言語教育」の内容と三者関係の変化として考察し、国分一太郎「教育」と「文学」研究会紀要に発表した。 敗戦直後から1947年頃までの国分は、戦後日本の教育改革に沿うように人民のための国をつくる「国民教育」を中心に、国民自らが学ぶ「自己教育(生活教育)」、そして言語を道具のように使用する能力を身につけさせる「言語教育」を主張する。だが、「国民教育」が戦前と同じように従順な国民をつくる教育にとどまっていることへの批判、戦後教育が重視する「子どもの生活」が観念的なものにとどまっていることへの批判、そして戦前の綴方教師との再会が国分を戦後新教育批判、生活綴方の復興へと向かわせることになる。生活綴方において「自己教育(生活教育)」と「言語教育」は不即不離の関係にあり、生活綴方におけるこの関係が「国民教育」を批判的に問い直すことになる。この時期の国分の教育論において「国民教育」「自己教育(生活教育)」「言語教育」の内容と関係は大きく変化している。これらのことを明らかにし、研究会紀要に発表した。 この考察は、これまで論じられることのなかった国分の戦後新教育批判、そして生活綴方復興にいたるまでの国分の教育論を明らかにするとともに、数多くの言及がなされてきた国分の戦後新教育批判や生活綴方復興にこれまでとは異なる解釈をもたらすことになる。さらに、「国民教育」「自己教育(生活教育)」「言語教育」からなる敗戦直後の国分の教育論は、言語教育に教師の役割を限定しようとする1936年以降の国分による生活綴方批判と理論的に重なる点があるように思える。だとすれば、本研究は戦前から戦後までの国分の生活綴方理論を連続的に捉えることを可能にする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度は、主として戦後新教育批判や教育の現代化、そして「人間綴方」に関する国分の著作や論考の収集と考察を行う予定であったが、「研究業績の概要」で書いたように、戦後新教育批判と生活綴方復興に至るまでの国分の理論的展開を考察し、国分一太郎「教育」と「文学」研究会紀要に発表したにとどまっている。また、国分の「人間綴方」に関する文献収集はある程度行っているが、考察までには至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
戦後新教育批判と教育の現代化に関する国分の著作を中心に考察を行い、国分一太郎「教育」と「文学」研究会紀要等に論文として発表する。同時に、国分の「人間綴方」に関する文献等を収集し、考察を行い発表等の準備を進める。
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