研究課題/領域番号 |
20K02522
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 高崎商科大学 |
研究代表者 |
下山 寿子 高崎商科大学, 商学部, 教授 (30287908)
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研究分担者 |
菅原 亮芳 高崎商科大学, 商学部, 教授 (40348149)
山本 尚史 筑紫女学園大学, 人間科学部, 講師 (90767542)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 教育病理学 / 教育病理 / 教育関係雑誌 / 教育メディア |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では教育病理学とその研究対象とされた教育病理現象の拡大増加の過程並びにそれに対応した教育病理言説の普及過程と意味合いをたしかめる事を目的とする。そのために都道府県教育会(含旧植民地)発行「地方教育会雑誌」の検索を通じ(1)地方教育者が教育病理現象を理解するための情報はどのように伝えられたか、(2)地方教育者の認識の深化にはどのようなステップがあり、それが児童理解にどのような影響を与えたか、(3)地方の教育実践の困難並びに教育環境の不備等は教育病理言説の普及や意味確認にどのような影響を与えたか等について歴史的実証的に検討したい。対象時期は明治30年代から昭和戦前・戦中期を想定している。
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研究実績の概要 |
本年度は、本プロジェクトの第4年目である。第1年目の基礎的作業、第2年目の「教育病理学」の移入と普及過程とその意味を探るための史料群の書誌的・内容分析を本格化した作業の上に、あらたな研究分担者(筑紫女学園大学・山本尚史氏)を加え、研究対象の拡大を目指した。研究連絡会は、2回(昨年度からの通しで第9回・第10回)開催した。 (1)研究連絡会では、例えば第9回には、①これまでの進捗状況と今後の研究計画への展望、②「長崎県、滋賀県各教育会雑誌と『教育病理』記事」について(山本)、「『宮城県教育会雑誌』の刊行状況と先行研究」について(菅原)、「『教育報知』と『教育病理』『教育病理学』に関する記事傾向(続)」について(下山)の研究発表等を行った。第10回には、教育学者・寺﨑昌男先生(東京大学名誉教授)から専門的知識の提供、なかでも、これまでの研究成果を発表し、次年度の学会発表、継続研究に向けてのアドバイスをいただいた。(2)今年度も引き続き、地方教育会雑誌との比較検討を行う必要があるため、中央の民間教育雑誌『教育時論』・『教育報知』の記事整理を行った。また、本研究が対象とする「教育病理学」のメルクマールとなる「教育病理」の概念の出現についても、歴史的文献学的に再検討を行った。(3)(1)(2)の研究成果は、本報告書「研究発表(令和5年度の研究成果)」欄に掲載する。(4)このような作業を通して、一部の資料群の書誌的・内容分析を進めることができた。(5)しかし、本報告書「現在までの進捗状況」欄に記載するように、新型コロナウイルス感染拡大に伴う作業の遅れを取り戻すことが困難であったため、期間の延長を申し出た次第である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
進捗状況について「(4)遅れている」とした理由は、以下のとおりである。 令和2年度及び3年度に、本研究が、教育雑誌なかでも都道府県教育会雑誌を研究対象としており、岩手県立図書館、兵庫県立図書館、福岡県立図書館などの地方図書館に出向き資料収集する予定であったこと。しかし新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、地方に所在する図書館などに出向き資料調査・収集を遂行することが困難であったことなどについて記した。令和4年度に、その遅れを取り戻そうと試みたが、未だに当初の予定の地方教育会雑誌の資料調査・収集を行うことができていない。 もちろん、これまでと同様に近代日本教育ジャーナリズム史研究会編『教育関係目次集成』にもとづく記事のデータベース化は進行している。また、本学図書館からの遠隔複写依頼により、『教育時論』・『教育報知』などの記事収集は進行しており、可能な限り研究は遂行している。 このような理由から、進捗状況は「(4)遅れている」と言わざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度も、令和2・3年度及び4年度と同様に【現在までの進捗状況】に記したように、当初の計画どおりに進行しているとは言い難い。令和2、3、4、5年度の遅れを取り戻し、令和6年度は研究の中間総括を行いたい。 (1)令和2年度、令和3年度、令和4年度、令和5年度に引き続き、中央の教育雑誌と都道府県教育会雑誌(『千葉教育雑誌』『山形教育』『私立兵庫県教育会雑誌』『宮城県教育会雑誌』など)の記事収集につとめる。収集しつつある中央の教育雑誌『教育時論』・『教育公報』については、さらなる資料のデータベース化につとめ、内容分析に進みたい。(2)あらたに加わっていただいた研究分担者は、主に西日本に研究フィールドをもっている。また北陸方面にも出向く予定があるとのことであり、資料収集の遅れを取り戻すために支援をいただけると考えている。(3)収集した雑誌の書誌的検討については、これまでと同様に、①編集主体、②発行部数、③想定された読者層、④欄構成、⑤主な執筆者などの観点から検討し、その性格をつかみたい。(4)内容分析の検討についても、これまでと同様に、①理解、②認識、③救済という観点から記事の分析を試みたい。(5)専門的知識の提供のための講師を引き続き招き、日本近代教育史・学説史研究にもとづいた日本における「教育病理学」の普及過程とその意味に関する研究の深化を図りたい。(6)上記の研究成果を学会に問うとともに、今後の研究の知見を得るために、例えば、日本児童学会において研究発表を行いたい。
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