研究課題/領域番号 |
20K02531
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
竹下 智美 茨城大学, 教育学部, 准教授 (90735193)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 保健室 / 養護実践 / 学校衛生施設・設備 / 衛生室 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、多機能化する保健室の本質的機能は何かに迫る研究である。保健室の機能は、医学的管理機能か、それとも教育的機能かが議論されているが、その議論は、主として、保健室で執務を担う養護教諭の職務内容になぞらえられた分析にとどまり、保健室それ自体を対象にした歴史的分析はなされてこなかった。「保健室」に関わった「ヒト」のみならず、「モノ」、「コト」も含め、その歴史的変遷と機能形成を明らかにし、保健室の本質的機能を顕在化することを試みる。
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研究実績の概要 |
本年度は、学校衛生施設(衛生室)の設置位置や見取り図とそこに設置された設備品に関する資料の整理、読解、分析を進め、学校衛生施設の設置位置の変化や設備品の種類やその使用方法等について明らかにした。明治期から続く、静養室、医務室や衛生室に設置された設備品やその位置との比較では、学校衛生施設の学校内における位置については、主として管理棟の一部として設置し続けるパターンと管理棟から離れ、体育施設や特別教室付近に設置されていくパターン2通りの設置形態が1950年代まで続いていた。また、これまで収集した図像資料を整理し、昭和初期の衛生室の室内レイアウトについて分析を進めた。養護実践の分析では、①予防医学的見地に立った学校看護婦の保健指導の充実と共に医療器具等、新たな学校衛生設備品等の設置が停滞し、変わって予防医学に必要とされる設備品の充実が見られるようになったこと、②都市部の先進的学校衛生施設のみならず、学校衛生上の重要課題を持っている地方の学校でも、学校衛生施設・設備の充実が見られ、学校看護実践を支えられていたことが明らかになった。その背景には、民間篤志家の支援や積極的関与があったことが明らかになった。さらに、それらと並行して、戦前から戦後にかけての子ども健康問題(栄養失調や結核問題、う歯問題、虚弱児等)への取り組みの詳細に関わった人々(学校関係職員、学校三師、PTA、民生委員、地区保健課、保健所、警察等)の学校保健実践の資料を収集、整理、分析を進めている途中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウイルス感染症の影響により、令和2、3年度の史料の収集・整理に遅れが生じたため、令和5年度の史料読解作業の進行に遅れが生じ、学会発表、論文投稿に課題が残ったため。
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今後の研究の推進方策 |
1、令和5年度の研究で不足していた図像学的資料の収集を進め整理を継続することで、これまでの保健室史や養護実践史では見られなかった分析視点を加え、当時の保健室空間のリアルな実態を明らかにする。2、これまでの実践を実践資料の読解の中で、都市部の先進的学校衛生施設のみならず、学校衛生上の重要課題を持っている地方の学校でも、学校衛生施設・設備の充実が学校看護実践の充実を支えている様子が見えつつあったことから、今後、設備品設置について地方にける学校衛生施設施設・設備品の制度化の状況と実際の施設設備品の設置、養護実践の内容についての詳細を明らかにする。3、その上でここまでの研究成果をまとめとして、日本における保健室の成立と機能拡大過程を明らかにしていく。
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