研究課題/領域番号 |
20K02535
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
瀬戸口 昌也 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00263997)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | ディルタイ / 解釈学 / 教育学 / 教育科学 / 教育哲学 / 教育思想 / 精神科学 / 理解 / 生の哲学 / 精神科学的教育学 / 陶冶 / 人文主義 / ドイツ教育学 / 科学性 / 哲学 / ヨルク / ギムナジウム / 教養市民層 / 解釈学的教育学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ドイツの哲学者として著名なW .ディルタイが残した教育学を再考して、教育思想史・教育学説史の中で新たな位置づけを与えるとともに、その現代的意義を明らかにする。これまでディルタイの教育学は、ドイツの精神科学的教育学とその継承である解釈学的教育学の出発点として位置づけられるか、または教育学の「科学性」の条件とされる「普遍妥当性」と、その限界(「歴史的相対性」)について画期的に論じたものとして、評価されてきた。本研究はこのような評価の一面性を指摘し、現代教育学の「科学性」の問題について、普遍妥当性要求と歴史的相対性の対立を止揚するような理論形成の可能性について考察する。
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研究成果の概要 |
本研究は、ドイツの哲学者W.ディルタイ(1833-1911年)の教育学が、現代ドイツの教育科学の理論構築に対して持つ意義を考察し、ディルタイの教育学の再評価を試みる。そのために、19世紀のディルタイの教育学から、現代のドイツの教育科学の諸理論に至るまで、科学と解釈学と陶冶の関係がどのように捉えられているのかを分析した。その結果明らかになったことは、ディルタイの教育学においては3者は密接に関係づけられていたが、現代ドイツの教育科学においては、3者の関係は科学と解釈学、解釈学と陶冶、科学と陶冶というように分断され、それぞれの部分的な結びつきから、科学性が主張されているという事実である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ディルタイが、精神諸科学(教育学を含む)の哲学的基礎づけで意図していたことは、当時の自然諸科学の方法論(とりわけ実証主義)や研究成果を取り入れながら、精神諸科学の知識の普遍妥当性を、心理学と解釈学と論理学との関連で基礎づけることであった。このようにして得られた精神諸科学の知識によって、われわれは自己と世界との関係を歴史的に問い直し、新たな意味連関として追体験・追構成することが可能となる。このような意味でディルタイの科学的教育学は、「解釈学的陶冶理論」と呼ぶことができ、ポスト・ヒューマニズムの時代の教育学の新たな方向性を示唆するものである。
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