研究課題/領域番号 |
20K02539
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
山城 千秋 熊本大学, 大学院教育学研究科, 教授 (10346744)
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研究分担者 |
農中 至 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 准教授 (50631892)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 青年団 / アメリカ占領期 / 祖国復帰運動 / 奄美群島 / 沖縄群島 / 復帰運動 / 奄美 / 沖縄 / 産業開発青年隊 / 米軍基地 / 南米移民 / 米軍占領期 / 奄美・沖縄 / 移民青年隊 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、占領期の奄美以南で起きた「島ぐるみ」の祖国復帰運動を「青年団」と「島嶼」の視座から解明することを目的とする。具体的には、奄美・沖縄の青年の間で「祖国日本」という意識がどのように形成されたのか、青年たちが祖国復帰運動に求めたものはなんだったのか、島嶼間の差異と共通点に着目しながら、青年団の機関誌、青年団資料、当事者の証言データ等の分析により明らかにする。 本研究の到達目標は、①奄美・沖縄・宮古・八重山の青年団が、祖国復帰運動をパラレルに展開していたこと、②青年の島嶼間移動を日本国内外、郷友会・県人会などとの関係性から実証し、青年団研究の新しい領域の開拓に寄与することにある。
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研究実績の概要 |
昨今のコロナ禍により奄美・沖縄での対面調査がほぼ実施できなかったものの、資料の確認と収集、聞き取り調査の対象者の選定、今後の調査の方向性について考察することができた。研究実績を以下の3点にまとめる。 第一に、青年団に関する資料の調査先について、青年団事務所、市町村立図書館などに広げて調査し、新資料の発見につなげることができた。対象時期は占領期に限るものの、機関誌・紙に限定せず、総会資料や研修会の資料、文書綴りなどの所在を関係者への確認を元に可能な限り調査した。中頭郡青年団協議会の事務所や北谷町公文書館、与論町立図書館、喜界町立図書館では、青年団に関する新資料を収集することができた。今後は青年団作成の資料に限らず、地方新聞、自治体史や字誌の記述にも範囲を広げていく。 第二に、コロナ禍でありながら、青年団経験者の貴重な証言を得ることができた。沖縄では、沖縄青年連合会の副会長を務めた伊狩典子さんのインタビューを沖縄県平和祈念資料館の映像アーカイブ事業と共同で実施することができた。このインタビューは資料館のHPに掲載される予定である。また、与論町では戦後および占領期について語れる人が少ない中で、4人の男性に聞き取りを行なった。与論町では、学校卒業後に島を出る若者が多く、青年団活動未経験者でが多いことがわかった。沖縄の中頭郡の青年団OBについては聞き取り対象者のリストを作成したが、コロナ禍で調査はまだ実現していない。 第三に、青年団運動と祖国復帰運動の関係を分析する際、青年団における復帰運動は手段であり、島々によって運動への考え・方法に温度差があることに留意すべきである。奄美大島、沖縄島と他の島々では戦後復興も米軍の有無にも差異があり、青年団運動を島嶼性を欠いて統一的に捉える手法には与しない。今後は、奄美大島および沖縄島以外の島々の青年団を対象に調査の広がりと深さを追究する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症が最も酷かった沖縄県で、リスクの高い「高齢者」と医療の脆弱な「離島」での調査が実施できなかったことにより、研究に遅れを生じた。また大学図書館を含む公共図書館も閉館や入場制限があり、思うような資料調査ができなかったことも要因となった。本年度末にようやく与論島および喜界島へ初めての調査を実施したものの、宮古・八重山調査は断念せざるを得なかった。そのため、研究を延長して引き続き離島での資料調査及び聞き取りを実施していく考えである。 科研費研究の期間中に刊行をめざしていた『占領期奄美・沖縄の青年団資料集』(不二出版)が、出版界の諸事情に刊行が遅れている。校正についてもほぼ終えており、あとは最終確認と印刷工程だけであり、2023年度には刊行の予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の残された調査地である奄美・宮古・八重山での青年団調査を早急に実施する。2023年度からは、青年団活動も平常化される模様であり、青年団OBへの接触も比較的可能になると思われる。感染対策に留意しながら、島での調査を進め、新規資料の発見と証言の収集により、占領期の青年団運動の内実と復帰運動との関係性について総合的に考察していく。本研究の集大成ともいえる『占領期奄美・沖縄の青年団資料集』の刊行を本年度中にめざす。
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