研究課題/領域番号 |
20K02548
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 岐阜協立大学 |
研究代表者 |
藤岡 恭子 岐阜協立大学, 経済学部, 教授 (60457918)
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研究分担者 |
田口 鉄久 鈴鹿大学, こども教育学部, 教授 (50350864)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 教育福祉行政 / 保幼小中連携 / 子ども・子育て支援 / 保幼小接続プログラム / 教育の地方自治 / 地域学校協働活動 / 教育ガバナンス / 市町村のリーダーシップ / 学校運営協議会 / 保幼小接続カリキュラム / アカウンタビリティの相補性 / 連携カリキュラム / 教育福祉 / 専門職の学習コミュニティ / 多職種専門職の協働 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、地域の教育・保育・福祉・健康・子育て支援にかかる総合的事業の協働的実践モデルの開発をめざしている。 第1に、①保幼小中接続を展望する学校教育・社会教育の連携、②「認定こども園」における保幼の接続、③福祉行政と教育委員会との連携に関する取り組みを調査する。 第2に、保幼小中の教職員・行政専門職・関係団体への聴き取りを通して、発達支援のニーズと実践的課題を明らかにする。 第3に、地域における子ども・教職員・保護者・地域住民・援助専門職・関係部局がつながる多様な実践プロセスを探り、子どもの全人的発達保障をめざす豊かな関係性と文化を創造する筋道を実証的に明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、子どもの発達を中軸に据えた地域における教育福祉ネットワークの構築に向けた理論的・実践的課題の探究を目的としている。本年度は、主に以下の2つの研究課題に取り組んだ。 (1)就学前教育・保育と学校教育の連携・接続をめぐり、教育委員会を中心とした関係部局の連携、地方公共団体としての積極的な支援等のリーダーシップに着目して、Y市3地区における「保幼小中一貫教育事業」を過年度実施した聞き取り調査を元に分析した。その成果を、藤岡・田口共著「就学前教育と学校教育を接続する教育福祉実践―地域連携に基づくカリキュラム開発に着目して―」(『岐阜協立大学論集』第58巻第1号に掲載予定、2024年8月発行)としてまとめた。 (2)「地域子ども・子育て支援会議」の動向について、研究分担者が長年会長をつとめてきたⅩ県および市町で公表されている議事録の収集・整理を行った。研究代表者はW市の同会議の副会長として、同市「基本計画」における「子育て支援計画」策定に向けた進行中の議論に参加する機会を得て、市行政の部局間連携によるリーダーシップ、地域の各代表からなる委員の発言を活かした合意形成過程を直接体験するなかで学んできた。 (3)研究分担者は引き続き、Ⅹ県社会教育委員連絡協議会顧問、Ⅹ県社会教育研究会員として、「地域学校協働活動の推進」を通した「コミュニティの強化」を図る活動支援、A市並びにB町の「子ども・子育て会議」会長として、就学前教育・保育の充実と子育て支援、安心の妊娠・出産等の着実な事業実施にむけた審議過程への助言を行ってきた。幼児教育・保育にかかる研修会で14回にわたって講師・助言者をつとめるなかで、実践者、保護者・地域住民と共に学んできた実践的知見を収集・分析・整理し、地域における子どもの育ちを豊かに支える教育福祉実践を探究してきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)「子どもの発達や学びの連続性を保障」する就学前教育・保育と学校教育の連携・接続をめぐり、先行研究の検討、中教審答申等を検討し、概念整理と論点を確認した。連携を促進する地方公共団体の支援に着目して、聞き取り調査・提供資料を元に、Y市3地区における「保幼小中一貫教育事業」の事例を検討した。各地区における1)連携の組織体制、2)保幼小中を接続する「カリキュラム」の特徴、3)その教育的意義を考察し、地域における教育福祉の充実のために、学校・園が地域の人々や団体とどのように連携を深めているのかという観点から、同事例からの示唆と課題を析出した。 (2)「地域子ども・子育て支援会議」の動向について、研究分担者の会長としてのかかわりを通して見出してきた知見を共有し、公表されている議事録の収集・整理を行った。また、次期「子育て支援計画」策定に向けた進行中の議論において、地域の各代表からなる委員の発言を活かし、政策決定に発展させる市行政のリーダーシップに学んできた。 (3)研究分担者は、Ⅹ県社会教育委員連絡協議会顧問、Ⅹ県社会教育研究会員として、充実した地域活動の企画・運営をするために社会教育委員の研修・活動支援を行った。A市・B町の「子ども・子育て会議」会長として、就学前教育・保育の充実と子育て支援、安心の妊娠・出産等の着実な事業実施にむけた審議過程への助言を行ってきた。D市・大学の子育て支援活動の講師として親子ふれ合い遊びの指導を行った。幼児教育・保育にかかる研修会で14回にわたり講師・助言者をつとめた。以上の取組のなかで、行政担当者、実践者、保護者・地域住民と共に学んできた実践的知見を収集・分析し、就学前教育における横断的・縦断的実践と、地域の社会教育における教育福祉実践を探究してきた。これらの社会教育並びに幼児教育の取組に対して、2023年11月7日に「三重県教育功労賞」を受賞した。
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今後の研究の推進方策 |
科研初年度から渡航規制により実施できなかったオーストリア・ウィーンへの海外調査を、2022年度末に実施することができた。2023年度は補助事業期間の延長申請を承認されたものの、研究代表者の勤務上の事情により論文にまとめることができなかった。今後1年間、補助事業期間の再延長を申請し承認された。今後も以下の3つの柱で研究を推進し、これまでのまとめをしていく。 (1)これまでの聞き取り調査で、未発表の訪問先について論文にまとめるとともに、再度の聞き取り調査および研究交流を行っていく。他の自治体への聞き取り調査も行い考察を深めていきたい。 (2) 2023年12月閣議決定の「こども施策に関する重要事項」を踏まえた自治体の取組を収集・分析し、「地域子ども・子育て支援会議」における今日的議論の動向を検討していく。 (3) ウィーン市の訪問・聞き取り調査について、1)幼児教育の視点から、多様な設置主体による多様な園の特徴を整理・分析していく。2)ウィーン市担当部局の担当者からの聞き取りおよび提供資料を元に、市における教育福祉の総合施策を分析して、論文にまとめていく。 これらを通して、地域に根ざした就学前教育・学校教育、社会教育および福祉行政による総合的な施策が、子どもの豊かな成長を支える教育福祉実践につながる道筋を理論的・実践的に解明していきたい。
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