研究課題/領域番号 |
20K02565
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 中央学院大学 |
研究代表者 |
谷口 聡 中央学院大学, 商学部, 准教授 (40636247)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 教育政策決定過程 / 教育の自律性 / 教育行政の独立性 / 教育DX / 学習指導要領 / 個別最適化された学び / 個人の要求を基礎にした学び / 教育条件整備 / 学校制度の多様化 / 学校教育の情報化政策 / データの標準化 / 文科省固有の役割 / 教育課程の特例 / 能力に応じた教育 |
研究開始時の研究の概要 |
2000年代以降の教育政策の決定過程については、政治(内閣)主導のトップダウン型と評されてきたが、第2次安倍政権以降、自民党文教族の復権、内閣府の影響力の低下など、従来とは異なる特徴が見られるようになる。本研究の目的は、2000年代前半と2010年代の学校制度改革の実行体制及びその展開過程を比較することにより、現代の日本における教育政策決定過程の変容とその構造を明らかにすることにある。
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研究実績の概要 |
最終年度は、前年度までに明らかにした学校教育の情報化政策「教育DX」の展開過程を踏まえた上で、同政策が子どもの学ぶ権利にどのような変容や問題を起こしうるかを検討した。その結果、「教育DX」によって推進される「個別最適な学び」とは、その言葉から連想されるような子どもの個性や個々の必要性に応じた学びを促すものとはならず、むしろ、(1)情報端末・データに依存した習熟度別指導・学習に過ぎないものとなり、学びの新たな画一化を招く可能性があること、(2)信頼関係を前提としないまま子どもの内心に関するデータの収集・活用が推進されれば、子どもと教員の関係性を壊すだけのものになりかねないこと、(3)先生にもデータにも捉えることができない「余白」が学校において縮小してしまう恐れがあることを明らかにした。 研究期間全体を通じた本研究の目的は、学校制度改革に焦点をあて、2000年代前半と2010年代における同改革の実行体制及びその展開過程を比較することにより、2000年代以降の教育政策決定過程の構造変容を明らかにすることにあった。学校制度の抜本的な改革を目指す「教育DX」を主対象にその分析を試みたが、結果、次のことが明らかになった。つまり、2000年代前半の政策決定過程は、首相官邸・内閣府・財務省と各省庁・自民党族議員の「対立」構造であったのに対し、2010年代後半以降のそれは、官邸主導と府省の「連携」構造、あるいは、前者に対する後者の「従属」構造へと変容しているということである。具体的には、内閣・内閣官房・内閣府が政策の大枠(経済財政政策、科学技術・イノベーション政策)を決定し、そのもとで各省が政策立案、府省間連携を求められる体制と言えるが、このような構造変容のもと、行政における総合調整と分担管理はいかにあるべきか、教育と教育行政の自律性をいかに保障すべきかという課題を析出した。
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