研究課題/領域番号 |
20K02566
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 三育学院大学 |
研究代表者 |
篠原 清夫 三育学院大学, 看護学部, 教授 (10647580)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 養護教諭 / 職業的社会化 / ライフコース / ジェンダー / 社会調査 / コーホート / 役割 / コロナ禍 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の第1の目的は、全国小・中学校の養護教諭に郵送調査を実施し、20年前の調査結果と統合してコーホート分析を行い、社会背景を含めた職業的社会化について明らかにすることである。第2の目的は、この研究成果を基に現在養護教諭が置かれている状況からライフコースに適合した研修内容について提示することで、養護教諭の体系的・計画的な養成・採用・研修の企画のための情報発信をし、社会貢献することである。
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研究実績の概要 |
1年目は養護教諭の職業的社会化に関する先行調査研究について、役割期待・職務、力量形成、参加的社会化としての研修、予期的社会化としての養成ルート、社会調査方法としてのサンプリング・調査方法・回収率に焦点化し分析と考察を行い、今後の研究方向性について検討した。 2年目は養護教諭の地位と役割の変遷と特徴を検討した。養護教諭は医療系職種であったのが医療だけでない職務を果たす教育系職種になったこと、厚生省と文部省の駆け引きにより複雑な養成制度の並立が続いていること、医療系より教育系ルートの養護教諭が多くなっていることを明らかにした。また養護教諭の職務は「手段的役割(身体的健康への対処)」中心から「手段的役割+表出的役割(精神的健康への対処)」へ、新型コロナ禍では「手段的役割+表出的役割の増加」という役割拡大が生じていることを分析した。 3年目は一般教師よりなじみの薄い養護教諭が人々からどのような「まなざし」を向けられているのかについてマンガを素材に分析を行った。2015年以降の作品を分析し、男性養護教諭は45%の作品で扱われ現実と大きく異なっていること、ジェンダーの観点から男性養護教諭が違和感を持たれる作品もあるが職務能力により周りに受容されていくこと、養護教諭と生徒・教師との恋愛感情は75%の作品で描かれていること、女性養護教諭に対するステレオタイプがある一方、セクシュアリティの多様性と許容されている社会状況が描き出されていることが明らかになった。 以上3年間の知見を全国小・中学校の養護教諭対象の調査を実施する際の項目作成に活かすとともに、約20年前の調査と同じ年齢集団のコーホートを用いて分析を行い、社会背景を含めたライフコースの視点から職業的社会化について明らかにしていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究はこれまで少なかった教師の職業的社会化研究の中でも、さらに稀有な養護教諭の職業的社会化について全国データを用いた実証的研究を約20年ぶりに行うところにあった。しかし調査を予定していた令和2(2020)年度からの新型コロナウイルス感染症対策のため養護教諭には新たな役割負担が生じたことを考慮する必要が生じ、研究計画を再度変更し調査を延期することにしたため研究に遅れが生じる結果となった。
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今後の研究の推進方策 |
上記の理由により期間延長承認申請をし、令和5(2023)年度に研究倫理審査を受け全国小・中学校の養護教諭を対象とする郵送調査を実施する計画である。その際、平成12(2000)年に実施された調査との比較のための職業的社会化に関わる内容のみならず、現在の養護教諭の状況について明らかにするため、3年間の知見を活かした調査項目を追加し調査を行う予定である。
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