研究課題/領域番号 |
20K02572
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
沖 清豪 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70267433)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 公正・公平 / 公正な入学機会 / 多様な背景を有する学生 / UCAS / 入学者選抜 / イギリス / 公正性 / 機会の平等 / 機会の公平 / 入試の公平性 / 高等教育の機会拡大 / 入試の公正性 / 成人学生 / 民間試験制度 / Aレベル試験 / 公正なアクセス / 機会の拡大 / 英国 / 日本 |
研究開始時の研究の概要 |
イギリスの大学入試改革の鍵概念である公正なアクセス(fair access)と機会の拡大(widening participation)の論理と実践の検討を通じて、社会経済的背景の違いによる進学率の格差をどのように改善していくのかを検討する。具体的には、(1)両概念が普及した歴史的経緯、(2)2010年代以降の政策における両概念への言及状況と課題、および(3)個別高等教育機関における対応状況(方策)を明らかにし、こうした基礎データを整理して、(4)二つの鍵概念が社会的に受け入れられる形で成立するための条件を、それらの日本への適用可能性を意識しつつ考察する。
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研究実績の概要 |
本研究はイギリスにおけるGCE A-level試験改革を中心とした高等教育機関への入学者選抜制度改革を通じて、Wide ParticipationとFair Access、すなわち公正性と多様性がどのように議論され、制度化されてきたのかを検討し、選抜制度やその中での取組みに関する妥当性を検討することを目指すものである。 22年度もCOVID-19の影響が依然として大きく、また英国内の急激なインフレーションの影響もあり、試験実施団体などへの現地調査を実施することができなかった。そこで、2020以降、UCAS(大学入学サービス)や中央政府・議会レベルで高等教育機会の公平性についてどのように議論されているのかを検討した。 UCASは2020年12月以降、COVID-19の影響を受けた多様な背景を有する志願者層についての調査研究を実施し、Where Nextと題する一連の報告書を刊行した。さらに2021年9月からはNext Stepsと題するLGBT+、看護学生、障がいのある学生、ケアの経験を有する学生の動向に関する報告書も刊行し、多様性と規模の拡大との拮抗について継続的に調査している。 さらに、大学側の提言やUCASの調査研究を踏まえて、議会が2023年1月31日に公表した報告書、Equality of access and outcomes in higher education in Englandでは、中等教育段階までの成績だけでなく、志願者の社会経済的背景や経験にも着目した入学試験方法の積極的な導入が提言され、多様な学生を確保するための支援のあり方についても検討されている。今後、2030年に高等教育志願者を現在の1.3倍以上にあたる100万人まで拡大させようとしているUCASなどの動向と合わせて、質的公平性と量的拡大との調整が求められていることが示唆されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度については、COVID-19 と急激な経済状況の悪化に伴い、英国訪問調査を実施できなかった。23年度に向けて調査方法の再検討を含めて、改善に努めたい。
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今後の研究の推進方策 |
(1) 年度末に向けて訪問調査を実施し、特に2023年1月の議会報告のインパクトについて大学入学者選抜担当者と中等教育機関の進路指導担当者とに聞き取り調査、ないしウェブ調査を実施する。 (2) 2020年1月から2023年までCOVID-19がイギリス大学入試に与えた影響について公開資料、特にデータを引き続き調べるとともに、(1)の調査にCOVID-19の影響についての質問事項も含めて調査を実施する。 (3) 2023年秋以降、学会において調査結果について報告し、本科研全体の成果をとりまとめ、公表する。
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