研究課題/領域番号 |
20K02583
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
|
研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
佐々木 啓子 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 名誉教授 (70406346)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 女子留学 / 女性リーダー育成 / 女性のキャリア形成 / 海外派遣 / 教育方法論の移入 / 奨学金 / 女性の地位向上 / 女子大学 / 女子留学生 / 女性リーダー / 大学 / ジェンダー / 高等教育 / 留学支援ネットワーク / 留学経験 / 帰国後の活動 / 女子留学ステージ論 / トランスナショナルな支援ネットワーク / フィランソロピー / 女子留学生のライフコース / 女子留学生のキャリア形成 |
研究開始時の研究の概要 |
女子海外留学・派遣生を送り出したエージェントとその支援ネットワークについてプロファイルを作成する。先ずは近代日本女子留学を、第1ステージ:欧化主義期(1868-1879),第2ス テージ:近代国家形成に必要な西洋的知識・技能の移入期(1880-1889),第3ステージ:女子高等教育の興隆と女性人材育成期(1890-1909),第4ステージ:女性大学人・専門職層の国際交流開始(1910~)という「4ステージ論」を展開し、女子留学生の個人史をもとに、各女子留学生の支援ネットワーク、および受け入れた海外の機関の目的や意図について、その時代の状況および学問的潮流のなかに位置づけて分析を行う。
|
研究実績の概要 |
本年度の研究成果は、学会発表1件(ONLINE 国際学会)と著書1本(共著)であった。昨年度までに戦前期の女子留学生の学校別リストアップを終えたことにより、今年度は第一に女性のキャリアとしての留学経験、そして第二には、留学によって何を学んで帰国後に還元したかという具体的なテーマにそって学会発表と著書の刊行を行った。 国際学会発表(ONLINE)ではPedagogical Objectsに焦点をあてたスペシャルテーマにそった発表を求められたことから、留学という本研究の主旨にしたがって、1920年代に米国に留学したクリスチャン・ソーシャルワーカーの今井よねが、米国で幼児教育、児童心理学、教育方法論としての演劇など新しい教育方法を学び、帰国後に日本の路上紙芝居を、先ずはキリスト教伝道のための教材として活用し、次第に幼児教育者によって幼児教育の教材として取り入れるようになった経緯を発表した。 他方、女性学長に焦点をあてた共同研究に参加し、明治期より女子高等教育の設立に貢献した女子大学を中心とする女性学長たちの経歴を分析した結果、男性学長に比して女性学長たちの留学経験が、その後の彼女たちの地位達成のための重要な要素になっていることを実証的に明らかにし、その成果は他のメンバーとの共著『女性学長はなぜ増えないのか』(共著、2022年7月刊行)で発表することができた。 このように、現代の女性リーダーとしての女性学長の実証的研究によって、本テーマである女子留学の歴史研究に新たな視座を提供することに役立ったといえる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画していた米国での資料調査が、コロナ禍による渡航制限の解除が見通せないことから計画を立てることができなかった。一方で海外の資料館がオンラインでの資料検索を充実させていたことから、必要な資料が日本でも入手できる環境が整ってきたといえる。また、オンラインでの研究会の開催が一般的になりつつあることは、これまで遠距離のために参加を見合わせていた研究会やシンポジウムなどにも容易に参加する機会が増えたことは予期せぬ効果であったといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
渡米しての資料調査は、現地でなければその存在に気付くことのない未開拓の資料を発見することがあるので、引続き渡航を計画したいと考える。一方で、国内の大学図書館や史料館で、これまで制限されていた部外者の資料提供に対して開放を求めながら、引続き資料調査を行う予定である。また、国際学会では対面発表が主流になるなかで、イギリス教育史学会での発表を計画している。
|