研究課題/領域番号 |
20K02584
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
岩本 健良 金沢大学, 人間科学系, 准教授 (50211066)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 性的指向・性自認(SOGI) / LGBT / ジェンダー統計 / 性別欄 / 青少年育成条例 / トイレ利用 / ジェンダー表現 / 広告自主規制基準 / 社会調査 / 教科書 / 辞典/事典 / 採用試験適性検査 / 正統的文化資本 / 科学社会学 / 再生産 / 性的指向・性自認 |
研究開始時の研究の概要 |
「社会による、多様な性(性的指向・性自認:SOGI)の扱いはどう変化してきたのか?」に関して、(a)自治体の採用試験適性検査で用いられるSOGI関連の質問、(b)教科書におけるSOGI関連の記述、(c)辞典類(国語辞典・百科事典等)におけるSOGI関連語句の説明、の3種の資料に基づき実証的に変化をたどり、その変化の背後にある社会運動や行政・政治などアクターの動きをインタビュー等で把握し、両者を関係づけて明らかにする。
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研究実績の概要 |
共著論文として、性的指向・性自認に関する概念と測定法に関する海外の先行研究をレビューした上で、大阪市民調査のデータに基づき人口学的属性との関連を分析した。その結果、親や本人が日本国籍を持たない人や女性など、マイノリティ属性である方が、性的指向に関し異性愛以外の回答が多いなど、諸外国の分析結果と共通する結果が得られた。 性別欄とジェンダー統計に関しては、LGBTの人権やプライバー保護とジェンダー統計の維持向上との両立をどのように図るか、政府や自治体の取組事例や動向をさらに調査し、情報の流れの観点から理論的に整理し、解決策の類型とともに、課題と今後の望ましい方向性を示した。 トランスジェンダーのトイレ利用に関しては、オフィスおよび公共施設に関して、シスジェンダー・トランスジェンダー全国6万人を対象に産学連携でweb調査を行い、基礎報告書を作成し、分析を進めている。2017年の調査に比べ、5年間でトランスジェンダーのトイレ利用に関する抵抗感の減少がみられた。トランスジェンダーは、利用したいトイレを利用できていない人がオフィスでは約 4 割、公共施設では約 3 割に上ること、またトランスジェンダーの中で「利用しているトイレ」も「利用したいトイレ」もさまざまであった。シスジェンダー/トランスジェンダー双方にとって、「トイレの選択肢」があることが重要であることが示された。 制度面に関しては、自治体の条例・規則における同性愛等に関する条項の有無や内容を、いくつかの自治体について網羅的に調査した、その結果、青少年育成条例・規則における有害図書の指定において、「性交またはこれに類する性行為」があるのに加えて「同性間の行為」を挙げる条項があり。性的マイノリティの人権保護の観点から問題があること、また早期にあるいは近年削除修正した府県もある一方で、長年放置されている県が多数に上ることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナ感染症の拡大・継続により、予定の調査や資料収集が困難になったことにともない、当初の計画を変更している。それに沿って、2022年度はいくつかの調査・分析を並行して進めてきた。成果の一部は、講演・マスコミへの取材対応・政府の委員会や自治体等への情報提供や提言を行い、社会還元に努めている。
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今後の研究の推進方策 |
多様な性への認識と評価は、人々の意識と社会制度の両面に現れる。その両面において、従来の研究では、現状が明確に把握されてこなかったり、埋もれていた制度的課題が明らかになりつつある。最終年度として、これまでの調査等をまとめ、論文その他で成果を形にとりまとめ公表する予定である。
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