研究課題/領域番号 |
20K02599
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 関西国際大学 |
研究代表者 |
川村 光 関西国際大学, 教育学部, 教授 (50452230)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 教職課程コアカリキュラム / 教師教育 / 国際比較 / 言説研究 / 新任教師 / ライフヒストリー / 教員養成 / 教職課程 / 教師 / 新任 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、4年制大学卒業後の4月から学校に着任した新任教師を対象に、教員養成時代の経験、教職アイデンティティや教育観の形成プロセス、教育実践のあり方などを捉えるために、ライフヒストリー・アプローチによるインタビュー調査を行う。サンプル数は各地域小学校教師10名ずつ、中学校教師10名ずつである(合計:小学校教師30名、中学校教師30名)。調査対象地域は、過去に調査を実施した3地域である。それらの地域は、地域的特性と全国学力・学習状況調査における子どもの学力結果などで類似している県として選定したところである。
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研究実績の概要 |
当該年度に実施した研究成果は下記の2点である。 第一は、教職課程コアカリキュラム導入に対する肯定派と批判派の言説を整理し、そのカリキュラムの言説空間の構成の在り方を明らかにしたうえで、今後のコアカリキュラム論争に関わった生産的な議論について考察したことである。具体的には次のことを指摘した。肯定派の言説は、教員資質の向上というコアカリキュラムの機能を議論している。一方、批判派の言説は、コアカリキュラムによる教育への国家のコントロール機能の危険性を問題にしている。コアカリキュラムの言説空間は、上述の肯定派と批判派の言説に加え、両派に属さない立場の言説、批判派の論に対する肯定派の言説によって構成されている。今後、生産的言説空間を構築していくためには、両派の議論が分断的に対立したものとしてではなく、相互浸透的な展開することが求められる。以上のように、現在のコアカリキュラム言説の状況について把握することは、今後の調査研究データの分析を行うにあたっての視点を提供してくれる。 第二は、2010年代後半の日本とイタリアの公立小・中学校教師を対象とした質問紙調査の結果を比較することによって、両国の教師の力量形成に関する文化のあり方を相対化し、各国の特徴を浮き彫りにしたことである。そのなかで、教師にとって最も重要な現場での教師のコミュニケーションを通じた力量形成が今後ますます期待できなくなっていくのではないかという共通の危機に基づく、異なる解法を有していることを指摘した。そして、両国の教師の力量形成施策は、いずれもそれぞれの国が行っている様々な教員制度改革の影響を受けて、総合的に、確実にある種の方向に進み始めているということを示していると考えられる。本知見は、現在の我が国の教員養成教育を相対化する視点を提供してくれる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響により、教師に対するインタビュー調査の一部を実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
これまで得られた過去2年間分のライフヒストリー・データを比較分析することにより、教職課程コアカリキュラム導入前の教員養成教育を受けた若手教師の力量形成のあり方を明らかにする。また、日本の教師教育政策を相対化して捉えるために、海外の教師教育研究者に対してインタビュー調査を行う。
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