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独立移行期仏語圏西アフリカの教育変革―内外的「分断」をめぐる視点からの政策分析―

研究課題

研究課題/領域番号 20K02617
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分09020:教育社会学関連
研究機関早稲田大学

研究代表者

谷口 利律  早稲田大学, 教育・総合科学学術院, その他(招聘研究員) (20557318)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワードアフリカ教育史 / フランス植民地 / 植民地教育 / アフリカ / 移民 / 西アフリカ / 教育史 / 分断
研究開始時の研究の概要

独立移行期の西アフリカの教育改革では、宗主国フランスと植民地とを隔てる教育の分断(外的分断)を解消することで、宗主国からの自立と対等な関係の構築が目指された。しかし、一連の改革が独立後の西アフリカ地域にもたらしたのは、教育格差に起因する、大衆とエリート層との国内的な分断(内的分断)という現実である。
本研究では、西アフリカ地域の独立前後の教育改革を主題に、教育によって解消されうる一方、教育によって拡大もしうる「分断」という視点から政策分析を行う。内外的な「分断」のプロセスから教育政策の分析をすることで、教育内容と実生活との乖離や教授言語と母語との齟齬等から生じる、今日的な教育課題の解明を試みる。

研究実績の概要

2023年度の研究では、現在の西アフリカの対外関係を考える際の大きな要素である、移民問題に着目した。セネガルの移民を取り巻く教育を、移民受け入れ地域側と移民送り出し地域側の双方に注目して整理し、独立以降、旧宗主国であるフランスと西アフリカとの間にどのような「分断」が生じているのかを考える素地とした。
西アフリカの最西端に位置するセネガルは、かつて西アフリカ域内から訪れる多くの移民の最終目的地であった。しかしながら、近年のセネガルの経済状況の悪化と就労機会の減少に伴い、セネガルは西アフリカ諸国の移民の通過国となり、欧州への出発地となる傾向を強めている。セネガルを出身国とする人々も、多くが移民として欧州へと出国している。
欧州では、増加するセネガルからの移民に対し、国際金融機関による金融教育が実施されている。金融教育のためのテキストの編纂も手掛けられており、フランス語のみならず、セネガルで広く話されるウォルフ語でも刊行されている。さらに、セネガルに留まる家族に対しても知識を提供することで包括的な支援が試みられている。
また、セネガル国内では、移民の流出を抑制する目的で教育改革が実施されている。多くの移民が義務教育課程の中退者であることを踏まえ、セネガルの一部地域では学校教育を充実させ、魅力ある学校づくりを実現することが目指されている。セネガル国内での義務教育の修了を希望させ、国内でのより安定した就労を選択させるための方向づけとして、教育改革が試みられているのであるが、取り組みはいまだ局所的である。
これらの研究から、在外のセネガル人や、セネガル国内の家族への教育が、移住先国とセネガルとの経済的な従属関係が前提になっていること、また、セネガル国内での移出民抑制のための改革は、公立学校での普通教育を前提としているため、再考の余地があることを指摘した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウィルス感染症の影響で渡航が困難であったことに続き、調査予定国でクーデターが起こり渡航禁止となったため、当初予定していた現地調査が果たせなかった。このため、研究方法を変更し、海外図書館からの資料の取り寄せなどで対応したが、当初の研究計画からはやや遅れている。

今後の研究の推進方策

当初の研究計画で予定されていた現地調査に変わり、現状で入手可能な文献や資料をもとに本研究のまとめを行う。

報告書

(4件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 研究成果

    (9件)

すべて 2023 2022 2021 2020

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] 独立期西アフリカにおける教育援助 ―国際援助、二国間援助と教育の「アフリカ化」に着目して―2023

    • 著者名/発表者名
      谷口利律
    • 雑誌名

      早稲田教育評論

      巻: 37(1) ページ: 39-56

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 仏領西アフリカにおける独立前後の教育改革─ジャン・カペルの教育理念との関連から─2022

    • 著者名/発表者名
      谷口利律
    • 雑誌名

      早稲田教育評論

      巻: 36 ページ: 105-121

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 仏領西アフリカにおける教育の現地への「適応」に向けた教育課程改革 ージョルジュ・アルディの植民地観との関連に着目してー2021

    • 著者名/発表者名
      谷口利律
    • 雑誌名

      『学術研究(人文科学・社会科学編)』早稲田大学教育・総合科学学術院

      巻: 69 ページ: 1-21

    • NAID

      40022527481

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [学会発表] 西アフリカにおける移民支援と教育2023

    • 著者名/発表者名
      谷口利律
    • 学会等名
      日本比較教育学会第59回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 「仏語圏西アフリカ諸国へのフランスによる教育協力―植民地教育と1960年代の教育協力の関連から―」2022

    • 著者名/発表者名
      谷口利律
    • 学会等名
      日本国際教育学会第33回研究大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 「教員評価の国際比較―TALIS2018およびメキシコ、南アフリカに着目して―」2022

    • 著者名/発表者名
      鈴木賀映子, 谷口利律, 鴨川明子
    • 学会等名
      日本比較教育学会第58回大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 仏領西アフリカにおける独立前後の教育改革2021

    • 著者名/発表者名
      谷口利律
    • 学会等名
      フランス教育学会第39回大会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 独立期西アフリカにおける教育改革―教育格差との史的連関に着目して―2021

    • 著者名/発表者名
      谷口利律
    • 学会等名
      日本国際教育学会第32回研究大会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 1920年代仏領西アフリカの教育改革 ーフランスの植民地観の変容過程に着目してー2020

    • 著者名/発表者名
      谷口利律
    • 学会等名
      教育史学会 第64回大会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書

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公開日: 2020-04-28   更新日: 2024-12-25  

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