研究課題/領域番号 |
20K02620
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 大阪電気通信大学 |
研究代表者 |
佐野 正彦 大阪電気通信大学, 共通教育機構, 教授 (00202101)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | youth transition / UK / labour market / longitudinal study / panel survey / further education / longitudinal survey / 継続教育 / 縦断的調査 / Youth Transition to Work / イギリス / パネル調査 / 早期離学者 / 継続教育カレッジ / 若年労働市場 / 仕事への移行 / 英国 |
研究開始時の研究の概要 |
英国(イングランド)における早期離学者(非大卒者)の教育から仕事への移行のプロセスを、①既存のパネル調査を詳細に再分析すること、②継続教育カレッジに在籍する若者を対象とした、参与観察と半構造的なインタビューを併用した質的調査を実施して、在学時から労働市場におけるキャリア初期の3~4年間の追跡をすることにより、明らかにする。
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研究実績の概要 |
①「縦断的、ライフコース研究」(Longitudinal and Life course Studies)の国際的、学際的なジャーナルであるLongitudinal and Life Course Studiesの創刊から今日までの論文のうち、英国の縦断的調査に基づいた研究の到達点と今後の課題を整理した。その作業を基に、あらためて、既存の「学校から仕事への移行」研究を再検討する必要とその視点・課題を提起し、既存の縦断的調査を使ってその分析を進めた。(ア)「学校から仕事への移行」を、青年期から成人期への移行というより長期的なスパンで捉え直し、30代前半までを見通したより広範なライフイベントとの関連やそれぞれの役割を捉え直す必要を確認し、その研究課題・視点や方法を提起した。従来のような、教育の成果、離家、求職活動、労働市場への参入・定着や離脱というイベントのみならず、パートナー関係の形成(結婚や同棲など)や離脱(離婚等)、家族形成や子どもを持つことや子育てというライフイベントを視野に入れた研究の再構築の必要を提起した。(イ)英国においてNational Child Development Study (NCDS、1946年)以来、ほぼ10年間隔で出生コーホートを設定し彼らを生涯にわたって追跡する、国家規模で実施されてきた縦断的調査とそれらに基づく研究成果の検討・整理を進めた。 ②近年の英国の議会での議論や教育省の報告書で注目された問題を手掛かりに、移行研究が、教育や労働市場における社会的不平等、「構造的な不平等」の問題へのアプローチにおいて、これまで等閑視してきた側面や欠落していた視点を探り、今後の研究においてより注力すべき課題を提起し報告書にまとめた(「イギリスにおける『学校から仕事への移行』における社会的不平等の連鎖を再考する新たな視点」)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
①イギリスの「学校から仕事への移行」研究は、長い伝統と蓄積がある。本年度は、「縦断的、ライフコース研究」(Longitudinal and Life course Studies)の国際的、学際的なジャーナルであるLongitudinal and Life Course Studiesの創刊から今日までの論文を中心に、英国の縦断的調査に基づいた研究の到達点と今後の課題を整理した。 ②近年の英国の議会での議論や教育省の報告書で注目された2つの問題を手掛かりに、移行研究が、教育や労働市場における社会的不平等、「構造的な不平等」の問題へのアプローチにおいて、これまで等閑視してきた側面、あるいは視点を欠いてきた論点を探り、今後の研究においてより注力すべき課題を提起した。具体的には、英国議会庶民院・教育委員会の『白人労働者階級の子どもの教育における不振(Underachievement in Education by white working class children, first report of session 2014-15)』(2014年)と教育省の『16歳以上の教育及び労働市場の活動、経路、および成果』(Post 16 education and labour market activities, pathways and outcomes(LEO))(2021年)の2つの報告書を検討した。 ③他方、本研究のサブテーマである、実際に継続教育カレッジに学ぶ若者を対象にした実地調査を行う計画については、これまでコロナ禍によって、調査対象校への訪問はまだ1回にとどまっており、進展が妨げられてきた。
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今後の研究の推進方策 |
イギリスには、戦後ほぼ10年間隔で出生コーホートを生涯にわたって追跡する、国家規模での縦断的調査が実施されている。その5つのコーホート調査である①The 1946 National Survey of Health and Development Study(1946年生まれ)、②1958 British birth cohort (National Child Development Study )(1958年生まれ)、③The 1970 British Cohort Study(1970年生まれ)、④Longitudinal Study of Young People in England (LSYPE)/Next Steps(1989/1990年生まれ)、⑤The Millennium Cohort Study (2000~2002生まれ)のデータ分析やそれら調査に関わるこれまでの研究成果を検討しつつ、①英国の「学校から仕事への移行」のプロセスを、成人期への移行、成人期初期というより長期的なライフスパンのなかで捉え直し、仕事と家族形成や離脱、出生や子育てとの関係や役割をより詳細に解明する。加えて、②出生コーホートごとの世代間の「学校から仕事への移行」実態の変化と、社会経済的変化や青年期や成人期初期の意識の変化を照らし合わせることによって、「仕事への移行」を取り巻く全体的構造を明らかにし、世帯間に生じた構造的変化を明らかにする。
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