研究課題/領域番号 |
20K02636
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 東京家政学院大学 |
研究代表者 |
後藤 範子 東京家政学院大学, 現代生活学部, 准教授 (20352643)
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研究分担者 |
香曽我部 琢 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (00398497)
竹田 好美 富山国際大学, 子ども育成学部, 講師 (20469472)
石倉 卓子 富山国際大学, 子ども育成学部, 准教授 (90461855)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 園庭 / 狭小な園庭 / SCAT / 保育者の語り / 園庭評価指標 / 園内研修 / COSMIN / システマティック・レビュー / 保育者の援助 / 保育 / 幼児教育 / 保育者の資質 / 保育環境 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、幼児が散歩中に交通事故に巻き込まれる事件が多発している。これらの事故を巡っては、保育施設の園庭の広さが十分に無いことで、幼児が交通事故のリスクの高い場所を日常的に散歩しなければならない状況が報道され、園庭の重要性が社会に広く認識される契機となった。しかしながら、都市部市街地では十分な広さの園庭が確保できない保育施設は多く存在する。そこで、本研究では、狭小な園庭の保育施設でも、幼児が遊びを十分に楽しむことができる環境構成や援助の方法について、本研究で得られた知見をもとに狭小な園庭でも質の高い保育実践を展開する環境構成や援助の方法を提案し保育者資質向上のための研修プログラムの開発を目指す。
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研究実績の概要 |
2021年度に作成した園庭評価指標1.0を活用したカンファレンスを行い、保育者によりよく園内研修として用いることができるようにご助言をいただいた。また、助言をもとに改訂した園庭評価指標2.0で園内研修を実施し、そこで得られた保育者の語りを質的分析した。その内容を次に示す。 第一に、園庭評価指標1.0の活用と改訂である。私立保育園の20年以上の経験を有する保育士3名と経験年数3年の保育士1名による園庭評価指標を用いたカンファレンスを実施した。その結果、41項目では日常的なカンファレンスでは項目数が多いことと、また、結果的に同じような話し合いが行われた項目があったため、項目数をさらに精査し、保育者が勤務時間内に短時間でカンファレンスを実施しやすい体裁に整え、項目数を28に改訂した。 第二に、園庭評価指標2.0(28項目)を用いた園内研修の実施と分析である。園庭評価指標を用いた園内研修の実施し、保育者が語る自園の園庭での子どもの姿と保育者の援助を質的に分析することを通して、自園の園庭の価値の再評価に向けた方策について考察することを目的とした。私立保育園の保育士6名を対象に園内研修を実施して得られた言語データを「園庭での子どもの遊びや援助をどのように語り、語りの過程でどのようなことを自覚化し新たな気づきが得られたのか」に着目して、SCAT分析を行った。その結果、保育士は子どもの姿や援助の方法を具体的に語りながら、把握した点や援助方法の決定理由等、援助の意図や方向性を解釈し、園庭での子どもの遊びに意義を発見し、今ある園庭に対する物理的特性に新たに気づいていった。指標をもとに語ることで、子どもの園庭での遊びや自分の援助に意義や意味を見出し、自覚化することが、園庭の面積等の物理的な豊かさの度合いでは評価しきれない、園庭の機能を見出し、自園の園庭への新たな価値づけや再評価に繋がると考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響と研究代表者の学位論文の作成のため、2022年度実施予定であった園庭評価指標の結果の量的分析について、研究協力園への調査依頼が十分に進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
1. 狭小園庭の園を中心とした全国150園を対象に、「園庭評価指標2.0」を用いた園内研修の実施を依頼し、量的分析のもとにさらに改良を加えた「園庭評価指標3.0」を作成する。 2. 保育士と研究者が連携しながら、園独自の評価指標を作成する。そのプロセスを通して、幼児と環境とのかかわりと保育士の援助の意図や方向性を自覚化するとともに、評価指標を用いた園内研修で得られた成果をその後の保育活動にどのように生かし、保護者や小学校にどのように伝えるのかを考察する。
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