研究課題/領域番号 |
20K02639
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
石山 ゐづ美 常葉大学, 保育学部, 教授 (70541704)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | インフォームド・アセント / アセント評価尺度 / 子ども / 研究説明補助資材 / 幼児 / アセント能力測定尺度 / アセント / レジリエンス / 実用化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、開発中のアセント能力測定尺度を教育分野への応用によって標準化し、標準化された尺度を医療分野へと適用する研究である。子どもがこれから参加する研究やこれから自身が受ける検査等について、その理解力に応じた分かりやすい説明を受け、参加への賛意を表して臨む、あるいは不参加の意思が尊重される、こうした適切なアセントプロセスのためにこの尺度は用いられる。具体的研究内容は、以下の3つである。 ① 幼稚園児を対象とする調査によって、教育分野における尺度を標準化する ② これを病院で検査に挑戦する幼児に適するよう改変し、医療分野での実用化を図る ③ 研究成果を子どもが参加する研究全般に利用可能な形式で公表する
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研究実績の概要 |
インフォームド・アセントとは,インフォームド・コンセントを与える能力を欠くと判断される研究対象者が,その理解力に応じた分かりやすい言葉で説明を受け,理解し,参加への賛意を表することである。本研究の目的は,教育系分野で開発中の幼児用アセント評価尺度(Instrument to Assess Children’s Assent:IACA)を医学系分野に適用し,さらに小学生に応用できる尺度に改編することである。IACAは半構造化面接調査の方法を用い,対象者の賛意の様相を評価する尺度である。研究者と子どもが対話しながら得点が記録される形式を採用し,インタビューガイドと評価基準・得点が一葉となった記録用紙として開発されている。 教育系IACAは3セクション・10項目から成り,1項目0-2点・総合得点0-20点としている。構成は,「理解と認識」セクション0-16点(研究計画の理解と認識,研究参加の目的・利益・不利益の理解と認識,参加拒否可能・同意撤回可能の理解と認識),「選択の表明」セクション0-2点(明確な参加・不参加表明,明確さを欠く参加・不参加表明,意思表明なし),「論理的思考と一貫性」セクション0-2点(参加・不参加意思一貫性のあり・なし,合理的理由のあり・なし)である。 2022年度,医学系IACAとしての応用を目指し,この構成を保持しつつ,小学校1~3年生が解説用ICT資材を視聴した後に実施する評価尺度として改編が行われた。資材で説明される研究計画,目的,利益・不利益との整合を図り,項目ごとの評価基準となる子どもからの回答・反応の得点化を,幼児用から小学校低学年用に修正した。 この改編の基礎資料を得るため,2023年3月,小学校1~3年生8人を対象とするパイロット調査を実施した。結果として,幼児では理解が不明であった研究参加の目的・利益につき,理解の可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アセント評価尺度(Instrument to Assess Children’s Assent)を以下IACAと表記する。 研究の第一目標である,教育系IACAの標準化を達成するためには,さらに研究協力者を募集し,多数の面接調査を行い,適切なサンプル数を確保しなければならないことは明確である。研究の計画において今年度は,幼稚園児200人の協力を得て,尺度を用いた半構造化面接調査を実施し,分析により信頼性と妥当性を検証することが予定されていた。しかし2021年度に引き続き2022年度も,新型コロナウイルス感染症の蔓延という実態及び感染拡大予防を重視する社会情勢により,研究協力園への研究依頼ができず,実施見合わせ・延期となったまま調査は実施されなかった。 このような理由により,今年度も研究の進捗は予定よりやや遅れる結果となった。 一方,小規模ながら小学校低学年児童を対象とした面接調査を実施することができた。さらに,小学校低学年児童向けICT資材の制作に参画することができ,小学校低学年用医学系IACAの開発は進行している。
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今後の研究の推進方策 |
1. 教育系IACAの標準化を目指して,適切なサンプル数の確保と解析をする。 (1) 幼稚園児,保護者,幼稚園教諭の協力を得て,幼児を対象とする半構造化面接調査を実施するとともに,保護者および幼稚園教諭を対象とする質問紙調査を実施する。(2) 幼児データの解析,および三者データの比較と分析により,教育系IACAの信頼性と妥当性を検証する。 2. 医学系IACAを医療の現場においてアセントが求められる児童に応用するとともに,小学校低学年用・高学年用のIACA開発を進める。 (1) 病気の治療と予防のために,ゲノム解析用検体提供が医療者から求められている小学生を対象として,インフォームド・アセント用ICT資材を説明として用いる。説明後,医学系IACAを用いてアセントの様相を評価する。これは同時に,ICT資材が子どもの理解力に応じた内容になっているか否かを評価することとなる。この社会応用を通して,医学系IACAの検証を行う。(2) 小学校4~6年生を対象とするインフォームド・アセント用ICT資材の開発に参画する。(3) 説明後のアセント評価に用いる医学系IACAを,ICT資材に適合するよう改編する。説明される研究計画,目的,利益・不利益との整合を図り,項目ごとの評価基準となる子どもからの回答・反応の得点化を,小学校高学年用に修正する。
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