研究課題/領域番号 |
20K02650
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平林 今日子 京都大学, 医学研究科, 特定講師 (00634932)
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研究分担者 |
佐藤 健一 滋賀大学, データサイエンス教育研究センター, 教授 (30284219)
川野 徳幸 広島大学, 平和センター, 教授 (30304463)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 子ども / 核実験 / 核被害者 / 被ばく / 放射線 / セミパラチンスク / カザフスタン / 核被害 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、カザフスタン共和国・セミパラチンスク核実験場周辺に現在居住している子どもたちが受けている被害を、子ども本人や保護者へのインタビューによって詳細に聞き取り、その実態を包括的にとらえ、核実験が子どもの人生に与える影響を明らかにすることを目的とする。 本研究では質的な研究手法を用い、丁寧に考察し検討するのみでなく、統計を用いた数量的な分析を実施する。疾患や障がいの有無によって子どもの被害に差があるかを検討し、核実験の直接の被災者が受けた被害との比較を行う。さらに各村の推定被ばく線量との関連を考察し、セミパラチンスク地区に生きる子どもの被害の実態を多角的に提示し、発信する。
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研究実績の概要 |
2022年度に引き続き、カザフスタン・セメイ(セミパラチンスク)にて現地調査を実施した。障がい・疾患のある子どもとその保護者4組と、障がいや疾患のない健康な子ども3名への聞き取り調査を行った。コロナ禍により、4年間の研究実施期間のうち、前半の2年は現地調査を実施することができなかったが、後半2年で障がい・疾患のある子どもとその保護者計8組及び健常児計5名への聞き取り調査を行うことができた。 疾患や障がいをもつ子どもとその保護者への聞き取りは、2009年からの合計で29組となった。積み重ねてきた聞き取り調査の全回答を対象にテキスト解析を行い、高出現頻度(30回以上)の単語をピックアップし、それらの単語を使用して共起ネットワーク分析を実施した。その結果から、①高出現頻度の単語は「子ども(子)」「病気」「病院」「ポリゴン(注)」「核実験・実験・核」「学校」「お金」等であること、②子どもの病気や障がいについて語られる際に、同時に核実験やその影響について語られている頻度が高いことが分かった。このことから、直接核実験を経験していない現代の子どもたちの疾患や障がいが、核実験との関連で語られる頻度が高いことが示されたと言える。この結果が直ちに疾患・障がいと核実験との因果関係を示すわけではないが、少なくとも子どもやその保護者がその関連性について多く言及している、つまり子どもたちの疾患や障がいが核実験由来であると認識していることを示唆したものである。これらの成果を9月に行われた第19回日本子ども学会学術集会にて報告した。 注:「ポリゴン」とは、元来は「多角形」の意味を示す単語だが、実験場の形状になぞらえて、核実験場及び核実験そのものを示す単語として用いられている。
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