研究課題/領域番号 |
20K02676
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
宮木 秀雄 山口大学, 教育学部, 准教授 (30710785)
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研究分担者 |
松岡 勝彦 山口大学, 教育学部, 教授 (70312808)
須藤 邦彦 山口大学, 教育学部, 准教授 (70533694)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 小学校 / 学校規模ポジティブ行動支援 / 学校適応感 / 幼児教育 / 集団随伴性 / ポジティブな対人行動 / 国立大学附属幼稚園 / 応用行動分析学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、国立大学附属幼稚園および附属小学校と連携し、幼稚園における集団随伴性を用いた介入により、幼児のポジティブな対人行動が生起・増加するとともに、小学校入学後の学校適応が促進されるかについて検証する。 近年、子どもの対人関係の問題に対する予防的アプローチの重要性が指摘されている。そうした中、全ての子どもを対象とした集団への支援を充実させる予防的な多層支援モデルの重要性が示され、「集団随伴性」の効果が実証されている。この集団随伴性を用いてポジティブな対人行動を幼児期から計画的に支援することにより、子どもの対人関係の問題を未然に予防するとともに、児童期の学校適応を促進することが期待される。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、幼稚園における集団随伴性を用いた介入により、幼児のポジティブな対人行動が生起・増加するとともに、小学校入学後の学校適応が促進されるかについて検証することであった。 4年目である令和5年度は、当初、研究対象となった園児の小学校入学後の学校適応に及ぼす影響を検討するための追跡調査を実施する予定であった。しかし、研究の過程で、園児の小学校入学後の学校適応を支えるためには、幼稚園での実践(ポジティブ行動支援)を小学校でも継続していく必要があると考えた。そこで、当該年度は研究対象となった園児の進学先ではないものの、小学校における学校規模ポジティブ行動支援(スクールワイドPBS)を実施し、児童の学校適応の評価を行うこととした。 公立小学校1校を対象に、①マトリクスの作成と掲示、②望ましい行動に関する学級での指導、③望ましい行動の撮影とフィードバック、④全校での「いいところ見つけ」、⑤スライドショーによる望ましい行動の写真の提示といった介入で構成される第1層支援を実施した。学校適応感尺度ASSESSを用いて、全校児童を対象に介入実施前と介入実施後の計2回学校適応感を測定した結果、「担任の先生は私のいいところを認めてくれている」や「元気がないとき,友だちはすぐに気づいて,声をかけてくれる」といった教師や友人からのサポートに関する項目において介入実施後の評定値が有意に高かった。一方で、「勉強について行けないのではないかと不安になる」の項目においては介入実施後の評定値が有意に高かった。こうした結果からは、ICT機器を効果的に使用しながら教員が児童の望ましい行動を強化したり、「いいところ見つけ」により児童同士がお互いの望ましい行動を強化し合ったりすることで、教員と児童、および児童同士の人間関係の改善につながったと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4年目の目的である「附属小学校での追跡調査」と「社会的妥当性の評価」は十分に行えなかったものの、研究範囲を小学校に拡大し、実践に基づいた「介入効果の検証」を行うことができた。また、研究成果を学会等で公表する準備も進めている。以上より「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を令和6年度まで延長し、公立小学校で取り組んだスクールワイドPBSの成果を学会等で公表することで全国の学校園に普及・還元する。また、令和6年度も引き続き公立小学校等でスクールワイドPBSの実践を進め、子どものポジティブな行動を支えるための幼稚園と小学校の接続について検討を進める。
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