研究課題/領域番号 |
20K02717
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 神戸松蔭女子学院大学 |
研究代表者 |
久津木 文 神戸松蔭女子学院大学, 人間科学部, 教授 (90581231)
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研究分担者 |
田浦 秀幸 立命館大学, 言語教育情報研究科, 教授 (40313738)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | バイリンガル / 幼児 / 認知 / 早期英語 / 実行機能 / 言語発達 / 日本語 / 英語 / 子ども / 言語獲得 / 社会的発達 / 認知発達 |
研究開始時の研究の概要 |
子どものバイリンガルは二言語使用の経験から実行機能の能力が促進されていると考えられている。しかし, どのような二言語使用や状態がこのような認知や心の発達に影響するかについてのエビデンスが殆どない。本研究では, 日本語と英語を獲得する同じ幼児を3~6歳の間追跡し, 二言語使 用による実行機能そして他者理解といった心の発達への影響とそれに関わる脳神経的基盤 の発達的変化についての検討を行う。
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研究実績の概要 |
先行研究の多くでは生まれてすぐ、もしくはかなり早い段階から二言語を獲得しはじめ、普段から二言語使用の機会が多いバイリンガルが研究対象となることが多い。しかし、日本語を使用するバイリンガルの場合、そのような言語環境の者はどちらかというと少数派である。22年度は幼稚園に入ってから二つ目の言語を学び始めたL2バイリンガルの幼児のデータを中心に分析を進めた。その結果、追加データが必要ではあるが、L2バイリンガルの幼児であっても認知的な影響がみられることやそういった影響がL1バイリンガルでみられるものとは異なる可能性が示唆された。この結果をウェブ開催での国際学会で報告した。さらに、データを収集した幼稚園でも報告を行い、英語活動や使用等、幼児の言語環境について追加情報を得た。報告を通して得られたコメントを参考に再分析・再考察を行ったものを国際雑誌に投稿した。 また、国内学会において、子どもの発達を保障するための養育者支援をテーマに発表を行った。外国にルーツをもつ外国語家庭の幼児は増加しているが、二言語発達に対する支援は乏しく、社会全体や保育者を含む養育者の二言語発達や母語維持に関心が高いとは言えない状況である。幼児期のバイリンガリズムと認知や心の発達の関連についての基礎研究を紹介することを通して外国語家庭の子どもの母語維持の重要性を伝えた。発達心理学の隣接領域の研究者と参加者と共にこのテーマについて考える機会となった。 また、コロナ感染症拡大の影響により長期保留されていた実験・調査についても内容を再検討し、部分的に再開し始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は対面での実験を行う予定であったが、22年度も対面での実施は引き続き困難であった。特に海外渡航ができなかったため、バイリンガルの子どものデータ収集ができなかった。また市内全域の保育園に声かけをして参加者を募集したが募集期間が短く、対象年齢層の幅が狭かったためか思うように参加者が集まらなかった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も引き続きデータ収集を行っていく予定である。募集期間や年齢幅については柔軟に対応することが必要であると考えている。参加意思を示してくださった親御様に対して可能なかぎり柔軟対応できるようにしていく。特にバイリンガルの子どもの募集についてはそもそも数少ないことから、国内外の国際学校や補習校等といった機関とのつながりを形成しつつ個人的なつながりを広げることを試みる。個人的にお話をしていくなかで、母語維持や多言語維持に関心はあるが知識を得る場がないという声をよく耳にするようになった。多言語で子どもを育てる方々の集まりやサークル等で役立つ情報を提供することを通して研究意義を知ってもらえるようにしていきたい。これまで同様、収集したデータの下分析を進めつつ、本分析をさらに進めていく予定でもある。分析や報告については、分析結果を言語発達と認知やバイリンガルの言語発達に関連するセミナーや学会に参加して報告する予定である。関連分野の研究者との交流を通して最先端の研究結果や手法について学び今後の研究実施や分析に生かす予定である。
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