研究課題/領域番号 |
20K02720
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 鹿児島純心大学 |
研究代表者 |
前原 宏美 鹿児島純心大学, 看護栄養学部, 准教授 (20737895)
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研究分担者 |
山田 美幸 鹿児島純心大学, 看護栄養学部, 准教授 (00336314)
浅野 倫子 鹿児島純心大学, 看護栄養学部, 講師 (70867332)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 発達障害 / 児童虐待 / 補償要因 / リスク要因 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,虐待のリスク要因のひとつとされる発達障害のリスク要因を中和する補償因子を特定し,補償因子を強化するためにはどのような支援を必要とするのかを明らかにし,具体的な虐待の支援策を地域行政に提言することを目的とする. 本研究は,発達障害が虐待のリスク要因であるとい線形思考を払拭し,補償要因を追求する.発達障害のある子どもの親に対して補償要因を追求することは,極めてセンシティブな内容であるため,これまでアクセスを避けてきた傾向にある.本研究では,当事者である発達障害のある子どもをもつ親にアクセスする.補償要因の特定は,「調べられる体制づくり」が重要であることも提起したい.
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研究実績の概要 |
本研究は発達障害の補償要因の強化を図るための児童虐待防止支援策の策定を目的とした. 2022年度は関連施設の視察を行い発達障害の子どもが増加傾向にあるなかで施設利用の人数制限の問題,生涯を通じた包括的な支援に課題があることなどの現状が把握できた. 2023年度は,インタビュー調査の内容を分析し,母親の補償要因(強み)の特定と強化を図るための支援策を検討した.母親の強みは,子育て観のなかに障害という特別なものがないこと,障害の気づきを障害の受容過程を始点とし,能動的な受療行動を確定診断,診断告知に導くこと,積極的な障害特性と個別性に関する情報開示により子どもに関わる人々の理解と対応に繋げ安心できる居場所をつくること,インフォーマルな支援を含めた支援の選択肢の拡大を図ること,母親自身の人生を尊重する価値観と子育てに対するゆるぎない信念により周囲の意見に左右されない子育てを貫くこと,子育てに関する家族間の理解と解決を図ること,母親同士のネットワークを支援の情報共有の場とストレス発散のコミュニティとすることなどが抽出された.補償要因を強化するためには,定型発達の子どもと同じ環境で生活するための最低限の配慮,母親の障害の気づきを保健福祉医療におけるインフォーマルな支援を含めた支援の選択肢の拡大,関連機関の連携のもと生涯を通じた包括的段階的支援の実現,発達障害の啓発,家族間の環境調整,地域のネットワークの構築,母親が自分自身の人生を尊重する価値観と子育てに対するゆるぎない信念を助長する支援を虐待防止策に発展させることが重要である. さらに母親に共通して語られた将来の複雑な人間関係のなかで生きていく社会的孤立,親亡き後のわが子の身辺自立や経済的自立,親の高齢化とともに増加する親以外の家族の介護負担の増加など孤立無援感に纏わる不安や葛藤に対する支援が虐待防止策として今後の最重大課題である.
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