研究課題/領域番号 |
20K02725
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
佐藤 佐敏 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (10510167)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 批判的思考力 / 情報 / 吟味 / 論理的思考力 / カードゲーム / 国語科教育 / 混成型テキスト / メディア・リテラシー教育 / 読解力 / 学習の転移 / 思考ツール / 方略 / 転移 / 国語科教育学 / アブダクション |
研究開始時の研究の概要 |
2019年12月「生徒の学習到達度調査(PISA:Programme for International Student Assessment)2018」において日本の生徒の読解力が15位であったという結果が発表された。その読解力を育成するための方法論の開発は急務である。本研究では、この状況を改善するために、中学校において〈非連続型テキスト〉と〈混成型テキスト〉を読解する〈批判的思考力〉を培うとともに、小学校において〈論理的思考力〉の基礎を培う臨床的研究を行う。具体的には、実践プログラムを開発し、国語科の授業で〈批判的思考力〉と〈論理的思考力〉の基礎を培う方法論を提案する。
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研究実績の概要 |
本研究の成果として、〈批判的思考力〉の育成に関するこれまでの学会での発表並びに学術誌での発表を基に、編著書『その情報は信頼できる? 批判的思考力を育成するエクササイズ』(図書文化)を刊行した。書籍の前半はエクササイズ集をまとめ、書籍の後半は「混成型テキストの読解」に関する先行文献を整理し、理論付けを行っている。 具体的には、情報の信憑性を評価するための読解方略10を策定し、情報に対して着目する対象、検討する観点、判断する基準を明示し、それぞれの方略を習得するためのエクササイズを配列した。また、理論編においては、情報を批判的に読解することに関して、算数・数学、社会、総合的な学習の時間など他教科からのアプローチも勘案しながら、国語科としてどのように本題材を扱うべきかということについて考察している。 加えて、情報の読解に関するバイアスの問題を論文化し、「Web検索で陥る確証バイアスを自覚する授業 : 情報収集におけるメディア・リテラシーの育成」と題して発表した。 次に〈論理的思考力〉の育成については、〈論理カード〉の活用の仕方について試行錯誤を重ね、最も効果的な活用方法を探り、その結果を日本教育実践学会で発表した。そして、その〈論理カード〉を活用して培った〈論理的思考力〉が、数ヶ月後まで剥離せずに汎用的力となり得るかどうか調査し、剥離しない学力とするためのさらなる活用方法を探究した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年の「今後の研究の推進方策」で述べたことを推進することができた。 特に、〈批判的思考力〉の育成に関しては、これまでの研究成果を1冊の書籍としてまとめあげることができた。この書籍は日本教育新聞の書評でも取り上げられており、学問として未開の分野に一歩足跡を残すことができた。 〈論理的思考力〉の育成に関しては、〈論理カード〉の効果的な活用方法について臨床的に調査しており、試行錯誤を繰りかえしている。現在の方法でも一定の効果は検証されているが、さらに良い活用方法があるのではないかと推測されるため、引き続き、その試行を繰りかえしている。
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今後の研究の推進方策 |
〈批判的思考力〉の育成については、既に研究成果を公表したので、今後は〈論理的思考力〉の育成に絞り、研究成果を公表する予定である。 なお、〈論理カード〉の最適な活用方法については、発達段階や地域等といった要因が様々に絡む関係で試行錯誤が続いている。その活用の最適化をさぐり、その成果が確認された後、その結果を学会で発表し論文化していく予定である。
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