研究課題/領域番号 |
20K02730
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
小路口 真理美 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (30849047)
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研究分担者 |
中川 雅道 神戸大学, 附属学校部, 附属中等教育学校教諭 (00842923)
太田 亨 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (80370021)
鶴成 久章 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (20294845)
小路口 聡 東洋大学, 文学部, 教授 (30216163)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 哲学資源 / 漢文 / 会読 / アクティブラーニング / 子どものための哲学 / 子どもの哲学 / オンライン / 新学習指導要領 / リモート環境の整備 |
研究開始時の研究の概要 |
これからの時代に求められるのは「他者に対して自分の考え等を根拠とともに説明しながら、議論することを通じて相手の考えを理解したり考え方を広げたりし、多様な人々と協働できる人間」である。(中央審議会初等中等教育分科会) 本研究は、このような人材の育成を目指して、漢文を「哲学的資源」として教材化すると同時に、中国・日本において、かつては一般的な学習法であった「講学」「会読」を、子ども哲学という現代的対話型学習を検証の軸に置きながら、アクティブラーニングとして再構築することを目指す。なお、教育現場と連携し、授業・評価の検証を行い、新科目「言語文化」「古典探究」のプログラム開発に資するものとする。
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研究実績の概要 |
本研究では、漢文教材を、訓詁考証学・書誌学などの古典学を踏まえた上で、歴史主義の視点を考慮しながら、一つの「哲学資源」という観点から捉え直し、更には、その学習に最も適した「会読」(学派によっては「講学」)を、子どものための哲学(p4c)という現代的対話型学習を検証に軸に置きながら、アクティブラーニングとして再構築するという、これまでにない新たな、深い、探究的な学びを可能にする漢文教育モデルを提案することを目的としている。 教材開発については、共同研究者で、まず、「哲学資源」たりうる漢文資料の条件を、論理的な特性を備えた文体で、書かれた当時の価値観を示しつつ、かつ、その本質的な問いかけに端を発するものとし、それぞれの専門分野で選出した。同時に、目指す会読的な、すなわち、対話型授業が成立するためには、生徒・学生が、漢文資料の問いに気づき、社会的・歴史的・言語的・民族的・個人史的などの観点から解析し、より包括的なテーマ(問題領域)を設定し、探究の中で、問いが変容するという過程が創出されなければならない。この二つの条件を満たす教材として、今年度は『論語』子路篇「直躬、父を証す」に注目し、同じ逸話に異なる解釈をしている『韓非子』『淮南子』の言説との比較を基にした対話型の授業を、中学校、高等学校で実践した。この実践は、中・高連携を目指した漢文読解リテラシーの開発を目的としており、中学1年、3年、高校2年生を対象に、その発達段階に応じた工夫を施した教材として提供している。また、学会で報告し、学会誌に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍のため、実際に教育現場に赴くことは難しかったことに加え、共同研究者の中川雅道氏が、第一子を養育するため、勤務校である神戸大学附属中等学校に、令和4年度1年間の育児休業を申し出て、承認され、本研究から離れたことも一因である。 漢文教材を「哲学資源」という観点から精選し、授業としての構築について、オンラインで議論を重ねた。各々論文を発表し、講演を行うなど、「『哲学資源』としての漢文」という視点からの教材開発、及び教育現場や一般人への普及については、一定の成果をあげている。 しかし、学び方の研究は、コロナ禍によって遅れていると言わざるを得ない。確かに、一部の高等学校や大阪教育大学国語教育部門の学生を対象に、オンラインで、ブレイクアウトセッション等の機能を使い、分担研究者、研究協力者とともに、「哲学資源」としての漢文を教材とした対話型授業を実践することはできた。しかし、GIGAスクール構想が進んでいるとはいえ、ネット環境が十分に整わず、スキルも未発達な高校も多く、実践研究として、検証するまでには至っていない。 ハワイ大学のUHM Uehiro Academy for Philosophy and Ethics in Educationに、我々の目指す「会読」(対話型授業)についての理解を求めた上での共同研究がなければ、本研究への転用・活用を検討できない。コロナ禍で、ハワイへの渡航ができなかったため、すべて1年遅れになってしまっている。
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今後の研究の推進方策 |
「哲学資源としての漢文の教材開発」に関しては、令和5年度は、研究者全員で、過去3年間で開発した漢文教材及び授業構想を踏まえ、漢文教材集・指導書(解説やファシリテート方法も含む)を編集し、出版あるいは、web上での公開を目指す。なお、漢文の文学作品の掘り起こし、それを題材とした対話的授業の開発と構築へと、研究フィールドを広げ、充実させるよう務める。 さらに、コロナ禍による移動の制限が緩和されるため、教育現場(中学校)「哲学資源としての漢文」の授業をデザインし、一定の汎用性を持った事例として公開できるようにする。 また、漢文の学習形態として最も適合していた「会読」をp4cという現代的対話型学習を検証に軸に置きながら、アクティブラーニングとして再構築するという目的を果たすべく、ハワイの UHM Uehiro Academy for Philosophy and Ethics in Educationに、ベンジャミン・ルーキーを訪ね指導を受ける。テクストを用いた哲学対話について、ハワイという多元的な社会で自己の個性を押し出すと同時に、他者と協働してテーマの探究に取り組む子ども哲学の実際を経験することは、大阪教育大学の掲げる「ダイバーシティ大阪の教育課題に寄り添う」というミッションにも貢献することになる。 最終段階として、哲学資源として漢文のアクティブラーニングとしての有用性と、古典教育の意義を教育現場で確認したい。
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