研究課題/領域番号 |
20K02757
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
喜多村 徹雄 群馬大学, 教育学部, 准教授 (60466688)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 美術教育 / 教科横断的学習 / 表現題材 / 地域資源 / 現代美術 |
研究開始時の研究の概要 |
美術教育における理論研究では領域横断的研究や架橋的研究が行われている一方、表現題材の開発レベルでは学習内容の小区分である絵画や彫刻、デザイン、工芸に準拠したものが多い。改訂された学習指導要領においても「主題を生み出すこと」や教科横断的学習によって現代的諸課題への対応を促しつつも、小区分を堅持するかのような指導指針を示し矛盾が見られる。本研究は、学習者が居住する地域資源から表現題材を開発することによって学習者の当事者性を高め、主題を生み出し、感性的思考力を働かせながら領域を自由に横断・複合する現代美術の発想や手法を用いて、現代的諸課題に対応する学習の育成に資することである。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は「地域資源を活用して〈領域横断的表現題材〉を開発する」ことである。地域資源が持つ特徴には、1.非移動性(地域性)、2.有機的連鎖性、3.非市場性が挙げられ、近年では人的資本やソーシャルキャピタルも含む広範なものだが、本研究では、地域資源がもつ媒介性(有機的な連鎖を介して、人間の生産活動や自然界を関連づけつつ、人間に有用な働きをする性質)に着目して調査、分析、題材開発を行っている。令和4年度は、コロナ禍での移動自粛が緩和されたことに伴い各地で開催された美術展に調査へ赴き、収集した資料を分析した結果、美術館事業を次の3つに分類した。 A美術資源を利用して新たな景観を創出し、これを地域活性化資源にしている「まちづくり事業」(十和田市現代美術館における「Arts Towada」)。B美術館の収蔵作品(有形文化資源)をもとにした企画展(八戸市美術館『持続するモノガタリ』)。C当該地域の文化的資源に着目した企画展(群馬県立近代美術館『アートのための場所づくり』、『River to River 2022』前橋市中心街)。Cは更に、C2文化的資源を再解釈することで創出したテーマによる企画展(八戸市美術館『ギフト、ギフト、』)。C3当該地域出身の美術家(人的資源)を招聘した企画展(水戸芸術館『中﨑透 フィクション・トラベラー』、富岡市立美術博物館『トポフィリア 山田沙奈恵展』)に細分化できることが分かった。 また、今年度の調査で得られた美術家の表現内容を本研究における観点に基づき分析すると「場所の特異性」に着目した表現(「場所・群馬」白川昌生ら)、「場所と人との情緒的なつながり」に基づく表現(中﨑透、山田沙奈恵)に大別でき、C1-C3は、感性的視点から地域資源を分析するのに有効な視座だと考えられることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究初年度に始まったコロナ禍に伴う移動自粛によって滞った調査の影響で分析と題材開発に遅れが生じていた。今年度は、自粛要請が緩和されたことに伴い各地へ調査に赴き、資料収集および分類に注力できたことで進捗は回復傾向にあるが、題材開発は滞っており、実践に至っていない。このことから「遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、遅れている題材開発に注力し、実践を行う。福島県双葉郡葛尾村の地域資源を元に題材開発および実践する計画があるため、これまでの研究結果を援用して開発に当たり、教育現場における題材開発への試料とする。また、令和4年度に実地調査できた展覧会の主催者および地域資源を活用した領域横断的表現を実現している作家への追加ヒアリングを行い、表現者の感性的視点の分析を補強する。
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