研究課題/領域番号 |
20K02797
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
原田 信之 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (20345771)
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研究分担者 |
宇都宮 明子 島根大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (40611546)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | コレクティブ・エフィカシー / 集合的効力感 / 認知能力・非認知能力 / コンピテンシー / 学力調査 / ビルドゥング学 / 社会情動的スキル / ビルドゥング計画 / 認知能力 / 非認知能力 / 統合教科カリキュラム / 事実教授 / 時間学習 / 幼小接続カリキュラム / 生活科 / ドイツ教授学 |
研究開始時の研究の概要 |
日本の幼小接続カリキュラム研究では、幼児教育と小学校教育の間の接続を円滑にする研究が行われてきたが、幼児教育で培われた学習経験が小学校の実際の授業の文脈でどのように有効に生かされるかは明らかにされてこなかった。 この学びの展望の未提示という課題に対し、認知・非認知能力の両面から社会的な見方・考え方の架橋を図り、幼小接続カリキュラムを再構築するモデルを提示する。時間認識(空間認識とならぶ社会的な見方・考え方)特有の認知系・非認知系コンピテンシーを特定し、そのコンピテンシーを主軸とした接続カリキュラムへと再構成するモデルを開発する。
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研究実績の概要 |
カリキュラムの学校段階間の接続の多くは、国際的にはコンピテンシー(資質・能力)を主軸におく学術研究として取り組まれてきた。これは就学前からすでに育まれている資質・能力を的確に捉え、制度化された機関としての学校等に段差や切れ目がないように組み込むことで学校教育を充実させるためである。この学びの連続性を展望できるようにする学術研究の課題は、接続体系の主軸となるコンピテンシーの選定であり、有意とされながらも可視化しにくい非認知能力をコンピテンシーとして可視化し、認知能力と併せてカリキュラムの体系に組み込むことである。このことから前年度には、ドイツ2州のビルドゥング計画を取り上げ、どのような資質・能力を設定し、幼小接続に有効に機能するようにしているのかという問いの下、低年齢児にふさわしい全人的教育を実現しつつ、コンピテンシーを要とするカリキュラムのどこに有効な構造的特色とすぐれた体系性が見出されるかを明らかにした。このカリキュラムの特色は、ビルドゥング学を基盤にした「三次元構成論」として抽出できた。認知スキルと社会情動スキルの輻輳性・相乗性をもって説明できる連関モデルを基に、その体系的連関性の詳細な描出に努めた。しかし先のビルドゥング計画を詳細に分析しても、近年、有力な非認知能力として着目されるコレクティブ・エフィカシー(集合的効力感:CE)がカリキュラムに実装されている実態は掴めなかった。これは他州のケースでも同様だった。そのため両コンピテンシーを輻輳的に高めるカリキュラムを再構築するのに、CEという非認知系の能力そのもののコンセプトを解明するためJohn Hattie他Collective Student Efficacyを邦訳するとともに、日本協同教育学会研修委員会主催の協同教育実践交流会において、このCEの教育実践を検討するワークショップ型研究会を開催するなどした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究については、研究計画立案の段階で本研究の目的を達成するための展望を描くため、研究目的達成の核となるメルクマールを4つ設定している。第1に、歴史教育学の観点から低年齢期に適した認知系コンピテンシーを解明することであり、第2に、ドイツ低年齢期教育での幼小の接続に有効に機能する非認知系コンピテンシーを理論と実践の両面から検討することである。そして第3は、体験学習を通して社会認識の基礎を育成する生活科独自のコンピテンシーを確定することであり、第4は、体験と認識の調和を実現することのできる、融合型コンピテンシー志向の幼小接続カリキュラムを開発し、具体的な教材例を示すことである。これら4つのメルクマールからすると、ここまでの研究成果において、2つの州のモデルカリキュラムを取り上げ、カリキュラムに配置された認知系コンピテンシーと非認知系コンピテンシーを特定し、それら両コンピテンシー構成要素が立体的にカリキュラムに配置されていることを「三次元構成論」という独自の概念的呼称を与えることでその構造モデルの可視化を図った。また、2つのモデルカリキュラムに基づき、生活科に転用可能な社会認識の基礎を育成するコンピテンシーの抽出は概ね成功していることから、具体例を通しそのコンピテンシーの実像の細部にわたる描出にも取り組和れてきた。これらのことから、研究の進捗状況としては概ね良好に進んでいるものの、昨年度までの研究では、国際的には有力視されてはいても、ドイツの2州のビルドゥング計画の次元ではコンピテンシー構成要素として実装されている実態がつかめなかった非認知系能力としてのコレクティブ・エフィカシー(集合的効力感)のコンセプトの解明に時間を要した。これについてもおおよその成果は得られたと判断することができるが、次の取り組みとしては、ここまで積み上げてきた研究成果を総括的にまとめることである。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画立案の段階で示した本研究遂行のための4つのメルクマールについては、概ね達成できたと見込まれる。これによりコレクティブ・エフィカシー(集合的効力感)のコンセプトの解明ということでは当初の見込み以上の研究成果が得られたと評価している。過年度において積み重ねてきた研究成果を単著書として出版することで総括的な研究成果のまとめとすることを予定している。
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