研究課題/領域番号 |
20K02813
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
山本 奬 岩手大学, 教育学研究科, 教授 (90552612)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 不登校 / コンサルテーション / 教師支援 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は教育や心理や医療などの領域から提供されている知見と不登校児童生徒を支援する担任教師等とをつなぐコンサルテーションの要点を明らかにし、その機能の向上を目指したものである。そしてその成果を「不登校児童生徒援助シート」としてまとめ、実践に付すことができる形で社会に提供しようとするものである。 具体的な構成は、①実際のコンサルテーションの逐語記録を検討することによりその要点を明らかにする、②教師のコンサルテーションニーズを捉える、③既存の児童生徒の特性に応じた支援方法を改善する、④上記の成果を「不登校児童生徒支援コンサルテーションシート」にまとめ実践を通して改善し社会に提供する、である。
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研究実績の概要 |
本研究は,不登校児童生徒を支援する教師のためのコンサルテーションの効果的な構成と展開を明らかにすることを目的としたものである。そこで得られた知見を「コンサルテーションシート」の形にまとめ、実践に付すことができる形で社会に提供し、心理職や教師による有益なコンサルテーションの実施につなげることをねらいとしている。実証的裏付けを備えた知見を実践可能な形で提供するところが本研究の特徴である。 2022年は,コンサルテーションの展開パターンの分類(研究1)に必要なコンサルテーション事例を新たに11件実施し関係データを収集した。これらについて関係専門家の協力を得て,5つの視点から分析を行い,その要点を抽出した。抽出すべき事項に関し,理論的飽和に至ったと判断された。また,コンサルテーションニーズの把握(研究2)については,2021年に感染症拡大の影響から量的検討から支援対象者からの聴き取りによる質的検討に変更して実施していたが,2022年もこれを継続するとともに,新たに計量テキスト分析を用いて追究することとした。不登校状態測定尺度の改善(研究3)に関する「学習に関する課題」尺度については,項目の収集と質的検討を経て暫定尺度を完成させていたが,感染症拡大の影響から多変量解析に必要な調査を実施することが,2022年もできなかった。 これまでに得た量的分析と質的の分析に基づき,不登校児童生徒支援コンサルテーションシート(研究4)を作成し,コンサルテーション場面への適用を行い,その改善に必要な資料を収集した。また,支援対象教員からしばしば語られる学校文化の変容を検討するために,これを反映する不登校児童生徒の在籍比の変化を予測する非線形回帰式を作成した。これによる推計値と,2022年発表の実際の不登校児童生徒の出現率の差から,不登校問題の深刻さが再確認されることとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コンサルテーションの実施に関しては,当初の予定を越えて実施することができ,その分析についても順調である。また,コンサルテーションシートの試行とこれに関する聞き取り調査も順調である。量的データに基づく予定であった研究の一部を質的データに基づくものに切り替え,さらに計量テキスト分析の手法を用いるなどの対応により感染症拡大の影響を最小限に留めることはできた。研究の当初の目的は完遂できる見通しが立っている。 しかし,本来実施する予定であった量的追究のための調査が,感染症拡大の影響で実施できていないことから,「やや遅れている」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
量的研究の一部を質的研究に変更し,その分析にも計量テキスト分析の手法を導入することで,研究の質的向上を図る。その充実に加えて,当初計画にはなかった教職大学院に学ぶ現職教員を対象とする調査を行い,当初の目的どおりの質を担保したコンサルテーションシートを完成させる。
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