研究課題/領域番号 |
20K02815
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
郡司 明子 群馬大学, 共同教育学部, 教授 (00610651)
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研究分担者 |
茂木 一司 跡見学園女子大学, 文学部, 教授 (30145445)
井上 昌樹 育英短期大学, その他部局等, 講師 (10780471)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | アート / 身体性 / パフォーマンス / なって/みる / 美術教育 / 身体 / プログラミング思考 / 「なってみる」学び / プログラミング的思考 / レッジョ・ナラ / アート的身体 / 実践/理論研究 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は「美術教育におけるアート的身体」論の実装的構築である。アート的身体論とは「世界に対話的であり続けようとする志向/行為」の育成を目指し、感性/思考を活用するアートにより課題解決に向かう学び論である。中心理念はパフォーマンス心理学の「共生と発達のアート思考」である。ここでのパフォーマンスとは、自分とは異なる何者かに「なることの理論」に着目した学習であり、観客・共同・即興・創造・発達・遊びによる学びの要素は美術教育と共通する。これまでのアナログな身体のアート学習に加え、アート的思考と科学的思考の身体的融合を可能にするプログラミング教育を通じ、学校教育に新たな創造性をもたらしたい。
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研究実績の概要 |
・本研究の理論に据えるパフォーマンス・アプローチ心理学について、UNSCIENTIFIC PSYCHOLOGY A Culture-Performatory Approach to Understanding Human Life の著者であるロイス・ホルツマンと本書の訳者らによる連続のオンライン講義に参加し、その内容理解を深めることができた。日本語と英語による対話を通じて、直接、ホルツマンとやりとりが叶うなかで、本書で重視する「アート」の捉えやパフォーマンスの可能性について、思考を深める機会となった。 ・ボストン・チルドレンズ・ミュージアムに関する資料の読解をもとに、STEAM教育のあり方について考え、議論する学習機会を得た。日本でのSTEAM教育におけるアートは、科学的な思考との接続において、美的次元に基づき、根源的能動的な意欲を喚起する方向性を明確に打ち出す必要性がある。 ・本研究の中核となるパフォーマンス・アプローチの具現化を図る「アルテナラ前橋2023ーつむぐー」(=0歳から100歳まで楽しめる読み語り/パフォーマンスの祭典)を実施することができた。12月より講座生を募集し、市民が表現の当事者になるべく7回にわたる講座(ダンサーや舞台演出家の講師招聘)を通じ、3月初旬に発表会当日を迎えた。当日は、地域及び都内からアーティストを招き、前橋文学館及びアーツ前橋を中心に前橋の街なかを舞台にパフォーマンス、造形ワークショップ、哲学対話など、多様な文化事業を展開し、総勢200名ほどの参加者を得て充実の会を催すことができた。講座生の達成感や充実感も窺え、今回の学習モデルをアレンジして学校教育に展開していくなど、今後の可能性につながる機会を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
・コロナ禍により、海外の視察(伊:レッジョ・ナラ=アルテナラ前橋の先行モデルとなる街ぐるみの語りの祭典、等)及び、予定していた国際学会での発表が叶わず、研究全体としては活性化に欠ける期間となった。職場状況の変化により研究外のエフォートが増したことから、予定していた論文執筆も見送るなど、研究次年度に向けて再度研究計画を立て直していく必要がある。 ・本研究の理論の要となるパフォーマンス・アプローチ心理学に関する学習会に定期的に参加したり、ロイス・ホルツマンとの直接的な対話の機会に恵まれたりしたことは、本研究を推進していく上で有用な学びを得ることができた。引き続き、関連テキストの読解に取り組み、実践に接続する視点を探りたい。本研究の実践の中核としてきたパフォーマンス学習の機会として、アルテナラ前橋2023の実現を図ることができた。受講生を募集し、発表当日に向けて数回にわたるワークショップを通じ、市民が表現者になる過程において、招聘した講師のワークショップ内容等に学ことも多く、「アート的身体」(=状況に入り込む、想像/創造的な身体)について考えを深める契機を得ることができた。 ・レッジョ・エミリア・アプローチに関する学びにおいて、アトリエリスタのヴェア・ベッキ氏の著作から、環境が子どもに与える影響の大きさや多感覚性が行き交う学びの重要性について検討する機会を得て、美術教育における「アート的身体」の理論及び実践につながる視点を得た。 ・美術教育に関するシンポジウムや幼児教育における表現の重要性を伝える講演の機会を得るなかで、あらためて、世界と交わる接面となる身体性の価値について、わかりやすく共有していく必要性を感じている。理論と実践から適したエピソードを導き出したい。
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今後の研究の推進方策 |
1.美術科教育学会投稿:「美術教育におけるアート的身体の一考察」と題して論文を執筆する。(投稿締切8月末)a.美術教育における身体性に関する文献調査により最新の研究動向を把握する。(5月中)b.美術(史)の文脈にてパフォーマンスに関する文献調査により研究内容を把握する。(5月中)c.パフォーマンス・アプローチ(パフォーマンス心理学)を軸に、その基礎となるヴィゴツキーとヴィトゲンシュタインの文献にあたり、理論の解釈を深める。(6月まで)d.ドナルド・A・ショーン『省察的実践とは何か』に基づき、美術教育における「アート的身体」の定義を考察・更新する。(7月まで) 2.パフォーマンス・アプローチの考え方に基づく実践(大学教員養成学部における授業)をもとに、実践記録及びインタビュー調査、分析を行う。(9月中) 3.小学校における身体表現と造形表現が融合する図工の授業観察を行い、実践記録及び指導者へのインタビュー調査、分析を行う。(12月まで)
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