研究課題/領域番号 |
20K02817
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
川崎 誠司 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (10282782)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 多文化教育 / 公正 / 正義 / 衡平 / エクイティ / ハワイ / equity / social justice |
研究開始時の研究の概要 |
本研究においては「公正」を鍵概念として,さらに「コンプリヘンシブ(総合性)」を副次的な鍵概念として設定する。「コンプリヘンシブ」は少数派・多数派を包含する市民全体の等しさを実現しようと機能する概念である。両者の理論的検討を法哲学の見地に立って進め,併せてそれらが社会科の学習場面で授業者によってどう重視され,学習内容がどう構成されているか(公正解釈),さらにそれらが学習者にどう認識され内面化されているか(公正認識)という実践的側面を,具体的な授業観察とその分析を通して明らかにしたい。
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研究実績の概要 |
本研究は、社会の多文化化が急速に進展している日本の教育課題、とくに社会科教育における「多文化共存のための教育」のあり方を考える基礎的かつ実践的な研究である。多文化社会では異質な価値観の衝突が生じる。文化の異なる者同士の相互理解を進めるには、社会科で育成すべき資質としての「公正な社会的判断力」を身につけることが有効である、という観点に立って社会科における学習指導のあり方について考究する。「公正」は「平等」と異なり定義や説明に馴染まない概念である。説明できない概念をどう教えるか、という教育学・学習指導論の根本課題に本研究は取り組む。 前年度の研究において、GIGAスクール構想をふまえて、学習者に「公正」を理解させることを目的としたウェブ・アプリケーション「ニュースをつくろう!」のプログラムの改良を行った。これにより、どのようなICT端末でもこのアプリケーションの活用が可能になった。今年度はアプリケーションを用いた授業実践の分析を前年度に引き続き継続するとともに、日本人だけでなく外国人学習者にもこのアプリケーションを使わせて、「公正」の理解の文化的文脈を解明しようとした。結果、「公正」の認識には有意な文化差は見られず、生活経験の内実の違いが「公正な社会的判断力」に違いをもたらしているのではないかという仮説を得ることになった。 継続してきた研究のこうした成果は、2023年6月に出版されたユネスコの教育プロジェクトの研究書"The Epicenter: Democracy, Eco*Global Citizenship and Transformative Education"にThe Challenge of Citizenship Education and Equity Pedagogy in Japanとして論じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍のため研究調査のフィールドとしたハワイの小中学校に訪問できない年度もあったが、今年度は5月、11月、3月に渡航し、学校観察や授業観察を行うことにより学校現場の今日的状況と課題を掴むことに努めることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は最終年度であるので、「公正な社会的判断力」の育成に係る教育方法や教育内容の確定に努め、学習指導論として提言を行うことを目指す。研究当初より活用してきたウェブ・アプリケーションを用いた授業実践をまとめ、理論研究とそれを実践的に裏付ける授業実践を合わせた研究書として刊行することを目指す。
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