研究課題/領域番号 |
20K02827
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
|
研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
久我 直人 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (20452659)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 自尊感情 / 心理的安全性 / 教職員の協働 / 子どもの内面と行動の構造 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,子どもの学びや生活での行動と内面(自尊感情)とのつながりをエビデンスベースで構造的に可視化し,その構造に適合した取り組みを組織的に展開することにより,機能的に子どもの変容を生み出す「学校改善プログラム」を開発することである。そのために、3つの研究課題を設定した。 ①学校によって異なる子どもの内面と行動の構造を可視化するアセスメントシステムを構築すること(指導論) ②可視化した子どもの実態を基にした取り組みを組織的に策定することにより教師の主体的な協働を生み出す組織マネジメントの手順を構築すること(組織論) ③「学校改善プログラム」を構築するとともに,複数校に導入しその効果を検証すること
|
研究実績の概要 |
「子どもの内面と行動の構造」を可視化するアセスメントシステムを開発するために、先行研究をもとに、①学習に対する意識と行動にかかる項目と②学校生活における「生活規範」にかかる意識と行動にかかる項目を策定すると共に、③子どもの自尊感情(本研究では「自分への信頼」とした)と④教師、保護者、友達への信頼にかかる項目を策定した。さらに、⑤「社会貢献」の項目と⑥不登校の要因にもなる学級集団への意識や認知にかかる子どもが感じている学級集団への「心理的安全性」のアセスメント項目を追加して策定した。 このように策定したアセスメントアンケートを実践研究校で実施し、因子分析等を通してアンケート項目の整理を行うとともに、子どもの学びや生活での行動が子どもの内面(自尊感情)とどのように構造的に繋がっているのか、さらには「心理的安全性」との関係を含めて共分散構造分析ソフトを用いて解析した。結果、「自他信頼」を基底要因として、「学びに向かう力」と「人と繋がる力」が支えられ、さらにその上に「社会貢献」が構成される構造的な繋がりが可視化された。 さらに、この子どもの内面と行動の構造図を実践研究校(高等学校)の全教職員で共有し、この構造図に適合した「効果のある指導」を組織的に策定した。全教職員で策定し、共有された子どもの内面(自尊感情)を整える勇気づけの言葉掛けが「ボイスシャワー」として組織的に実施された。さらに、子ども同士の信頼関係を醸成し、「心理的安全性」を高める「相互承認の仕組み」が導入された。 結果、子どもの「自分への信頼(自尊感情)」の高まりと学びや生活の安定がデータから確認された。 複数の実践研究校での研究を蓄積することによって、校種を超えて共通する子どもの内面と行動の構造が検出されてきた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本実践研究において、計画された子どもの内面と行動の構造を可視化するアセスメントシステムの開発が、校種が異なる複数の実践研究校の子どもたちのアンケートの実施により進捗した。 また、アセスメントシステムによって可視化された子どもの内面と行動の構造図を全教職員と共有することによって、実践研究校の子どもが抱える教育課題を組織的に把握し、さらにその課題を解決するための具体的取組が組織的策定された。 結果、アセスメントシステムの構築と共有を通して、教職員の協働が生み出されたことから想定したアセスメントシステムの機能が駆動したことが確認された。 さらに、全教職員によって策定された「効果のある指導」が組織的に展開され、結果として子どもの「自分への信頼」と「友達の信頼」の高まりと学びと生活の安定がエビデンスベースで確認されたことで本プログラムの機能が、校種を超えて一定程度実証された。
|
今後の研究の推進方策 |
これまで、校種が異なる複数の実践研究校での研究を蓄積し、それぞれ一定の効果が検証されてきた。これら研究から導き出されてきた効果と課題、限界等を明らかにし、本プログラムの精緻化を図ることによって汎用可能性を高める。 具体的には、さらに校種の異なる複数の実践研究校へ本プログラムを導入し、子どもの内面と行動の構造の校種間や学区間の差異を抽出する等、本プログラムの精緻化を図る。特に、内面の安定を基に「自律的な学び」、「他者との協働」、「心理的安全性」を生み出す促進要因の抽出等を試みる。 これらの知見をもとに、自校の子どもの「内面的な安定」と集団の「心理的安全性」を機能的に醸成し、教育課題解決と共に、個々の子どもの「学びに向かう力」と「人と繋がる力」を組織的に生み出す、教育改善プログラムの構築に繋げる。
|