研究課題/領域番号 |
20K02840
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 広島大学 (2022-2023) 比治山大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
林 武広 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 名誉教授 (50116646)
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研究分担者 |
磯崎 哲夫 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (90243534)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 小学校 / 中学校 / 理科 / 防災学習 / ルーブリック / 評価 / 自然災害 / 防災 / 理科学習 / 汎用的評価指標 / 評価指標 / 小・中学校 |
研究開始時の研究の概要 |
小・中学校理科における自然災害関連学習で到達すべき事項について自然災害とその防災に関する知識・技能の習得,日常的な防災への備えや態度育成及び災害時にとるべき行動イメージ形成を基軸とした汎用的な評価指標の構築を試み,指導実践を通してそれらの有効性を検証する。併せて自然災害が多発するインドネシアとフィリピンの研究者と連携して,それぞれの指導事例を共有する中で国際的にも汎用性が高い指標としていく。
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研究実績の概要 |
本課題初年度にあたる令和(以下,R)2年度より計画していた海外渡航調査及び研究者の招聘はR5年度から実施可能となったため,インドネシアの研究者のTuswadi博士をR6年4月8日-14日に招聘して研究協議を行うことになり,R6年2月-3月に内容の打合せを行った。国内では研究代表者の林がR5年7月からR6年2月の期間に広島県内の小学校9校,中学校2校において主に流水が関わる災害(土石流,津波,洪水等)を扱う連携授業をモデル実験を含めた内容で実施し,児童・生徒の防災認識に関する項目選択+自由記述によるアンケート調査を行った。これらのアンケートは前年までに開発したルーブリック活用して解析した。これらの解析結果をもとに防災学習の効果的評価について次年度に国内外の学会で発表する準備をほぼ終えている。さらにインドネシアにおける防災学習の本ルーブリック活用についても上記Tuswadi博士の招聘時に詳細を協議する準備を行った。 分担者の磯﨑は科学教育,理科教育における防災教育の実践において重要となる「自ら考え判断し行動する」ことを基本とするSTEM教育,特に日本型STEM教育について理論的に研究した成果をまとめた著書を学校図書より刊行している。また,科学の本質(NOS)を理科で扱うことについての理論的な検討を当分担者が指導を行っている広島大学大学院人間社会科学研究科院生の井川拓洋氏と共同で検討を行い,その成果を日本科学教育学会による科学教育研究47巻に論文発表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
R5年度あたりから,海外渡航調査や海外の研究者の招聘が可能となったため,研究期間延長が承認されたR5年度にインドネシアの研究者を招聘し,児童・生徒の防災意識を高める方略と達成評価方法を協議する予定とし鋭意,日程調整を行ってきたが先方の諸事情もあって年度内での実施は難しい状況となった。そのため,研究期間の再延長を申請し,承認されたため,先方と再調整を行ったが,年度内の招聘は困難でR6年度早々の4月初旬にインドネシアの研究者招聘がようやく実現できることになり研究の進展が期待される。 当該研究者はこれまでに防災学習の指導を行ってきており,上記のルーブリックの活用も試みている。R6年度早々の招聘によって,これまでにかならずしも十分に検討できなかった防災学習における評価のあり方と小中学校でのそれらの実践的検証,および研究成果の発表方策の具体についても協議が可能となった。 国内における研究に関しては,小学校における連携授業実施校は概ね十分であり,児童の反応に基づいた検討を進めているが,中学校での連携授業が2校のみであり,調査が十分に実施できていない。またインドネシアにおける防災学習の事例との比較を通したルーブリックの汎用性へ検討も上記の状況から十分にできていない。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の中核である授業後の児童生徒へのアンケート調査とその評価では,これまでに開発し,修正を続けているルーブリックによる「自然災害の様相と発生メカニズムに関する知識の広がり・深まり」を評価と態度面の「災害にどう向き合うか」,具体的行動面の「災害に対してどう備えるか・行動するか」の評価については,それらの結果の相互関連が明らかにできていないので,その点に注目してルーブリックの再修正を行う。それを用いて,1昨年度,昨年度に行ってきた児童生徒のアンケート回答の再評価を行う。それらの結果を参考しつつ,日本(広島県)とインドネシア(ジャワ中部)において新たに防災内容を扱う小・中学校理科授業を通した実践的検討を行う。特に実践的な検討が十分でなかった中学校理科での防災学習はR5年度に広島県内の2校で連携授業が実現できたので,R6年度にさらに授業実施校を加えた実践的検討を行う。 これらの結果を基に小・中学校理科において児童・生徒の防災認識を高める授業内容と効果的な評価のためのルーブリックを検討し,その成果を2019年6月にインドネシア,中部ジャワで行った防災指導に関する現職教員研修の成果も併せて,R6年度の国際学会(EASE Joint International Conferences 2024 in Bangdung, Indonesia)で提案する準備を進めている(R6年5月12日,発表要旨受付・査読済)。その後(8月,12月頃)に開催される国内の学会でもR6年度内に成果の発表を行う準備を進めていく予定である(口頭発表及び論文投稿)。
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