研究課題/領域番号 |
20K02869
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 帝塚山大学 |
研究代表者 |
吉田 雅昭 帝塚山大学, 教育学部, 准教授 (40709309)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 国語科教育学 / 日本語学 / 時枝誠記 / 藤原与一 / 奥田靖雄 / 鈴木重幸 / 言語過程説 / 生活語 / 国語教育学 / 標準語教育 / 学校文法 / 文学教育 / 方言学 / 民間教育運動 / 古田拡 / 国語教育の方法 / 改稿 国語教育の方法 / 国語学者 / 西尾実 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、国語教育学の発展における日本語学が果たした役割を考察するものである。国語教育学は法律・制度に基づいた学校現場を扱う国語科教育を基盤とする領域である。一方、日本語学(国語学)は日本語を語学的観点から研究する領域である。この研究を通し、我が国での国語教育学が発展した時期に、日本語学が果たした役割を明らかにし、学校教育において日本語学がどのように貢献できるのかを検討する。 戦後の国語教育学界に一定の影響力を持っていた国語学者の時枝誠記を中心に、国語学者の国語教育に関する研究が有した意義や、国語学者の日本語に関する理論がどのように国語教育の分野へと関係していったのかを主な対象とする。
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研究成果の概要 |
昭和前期の日本語学者による国語教育論を考察した。まず、当時の代表的日本語学者である時枝誠記の著作を調べ、国語教育を、訓練を主とする技術教育と規定する姿勢は一貫しているが、文学鑑賞の否定や<たどり読み>理論など、次第に時枝が独自色を強めたことがわかった。次に、方言研究の立場から独自の主張を展開した藤原与一は、日常会話を生活語と捉え、生活語の向上を目指し、話し言葉を主軸にした国語教育論を構想した。そして、マルクス主義的理論から日本語を研究した奥田靖雄らは客観的な読みを重視し、主観的読みを否定した。日本語力育成という観点は共通するが、日本語の捉え方が異なるため、教育論にも差異が生じているのである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、国語(科)教育がどのような性格を持ち、何を目標とする科目であるのかを歴史的文脈から考察する上で有意義な研究である。学問分野としての国語(科)教育学と日本語学はかなり乖離しているのが現状だが、本研究で取り上げた昭和前期(特に戦後期)は、当時の国語学者が国語教育へも積極的に関わり、それが国語(科)教育学の発展にも寄与していたことのである。本研究で扱った時枝誠記は、能力主義といわれる言語能力育成を重視する一つの潮流を形成した。また、藤原与一の話し言葉重視の姿勢や奥田靖雄らの客観主義的教育論は、日本語能力の育成という共通項を有しつつ、その内実には様々な考えがあることを示しているのである。
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