研究課題/領域番号 |
20K02876
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
七澤 朱音 千葉大学, 教育学部, 准教授 (10513004)
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研究分担者 |
吉野 聡 茨城大学, 教育学部, 教授 (10334004)
糸岡 夕里 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (50387966)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2020年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 授業者目線 / 参観者目線 / 2アングル / 小学校体育科教育法 / 実践的知識 / ビデオアングル / 教材ビデオ / 見取り / 初等体育科教育法 / 体育科教育法 / 体育授業 / 教えることの心配 / 事例映像 / 講義連携 |
研究開始時の研究の概要 |
3つの教員養成系大学で連携し、「体育科教育法」のシラバスを再検討、ブラッシュアップを図る。参観者の目線に加え、授業者の視線を取り入れた教材映像(DVD)を製作して講義内容と連動させるとともに、資料(プレゼン・配付資料)を刷新して授業で活用する。DVDには、優れた教師が展開する全運動領域と保健領域の授業映像(教育実習で陥りやすい事例を捉えた教師目線の映像)を盛り込む。また、授業を参観する際に、指導案を自力で書き取る手法を採用することにより、受講者の観る力を養う。映像視聴前後の知識樹形図の変化や、授業参観の前後における指導案の記述内容の変化等を分析することにより研究の成果を把握する。
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研究実績の概要 |
令和4年度は,体育授業における教師の「マネジメント方略」の実践知を学ぶための映像資料を製作した。映像は同年5月に公立A小学校で実施された「器械運動(マット運動)」単元の「はじめ」で,マットを班ごとに準備する展開部分の「マネジメント場面」2分58秒を,①参観者目線と②授業者目線の2アングル用意した。①参観者目線は,授業の全体像がわかるように遠隔から録画し,②授業者目線は、授業者の胸にアクションカメラ(GoPro)を装着して授業者の目線に近づけたアングルで録画した。これらの映像を,同年前期の「小学校体育科教育法」(本学部3年次必修)の受講者全員(346名)にそれぞれ視聴させ,全データが揃いさらに本研究への同意が得られた受講生236名(回収率68.2%)を分析対象とした。 調査はGoogle formを用いて実施し,「設問1『①参観者の映像』を観て何を見とりましたか。思いついた内容を全て文で箇条書きしてください。」とし,設問2は設問の『』内を『②授業者目線の映像』に変えて実施した。この場面を採用したのは,マット運動は特に用具の準備・片付けが多く構造的な指示が必要であり,学習成果の如何に直結する運動学習時間の増減と密接に関係するからである。なお,この動画資料は,組織に所属する特定者のみが視聴できることとし,教育機会や研究成果発表の際の限定利用を条件に授業者の所属校校長から許可を得ていた. 回収した自由記述をexcelに整理し直し,KHコーダーを用いて共起分析を行った。結果,①参観者目線では,マット設置の指示と児童たちの対応状況,その間の称賛など,教師のマネジメントの指示が授業の全体進行に与える影響等を主に見取っていた。一方②授業者目線では,児童たちの安全確保に対する具体的な指示言語と,全員の様子を観察しながらマネジメントの指示を与える教授行動を見取っており,両者間に強い共起が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は四カ年を通して,授業者の視線を取り入れた映像教材を教育学部の講義と連動して用いることにより,教員を志望する受講生がより実践的な知識を獲得できる「小学校(初等)体育科教育法」を構築することを目的としている。 過去三年間で,茨城大学・愛媛大学・千葉大学で連携し大学における講義内容の協議と修正は図れていると考えるが,新型コロナウィルスの関係で外部の人材が入ることに対して依然として抵抗のある学校が多く,映像教材の収録数が当初の予定より少なくなっている現状である。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度後半から,ようやくコロナウィルスの規制が緩和されてきた。学校での授業録画について積極的に依頼を進めて行きたいと考えている。令和3年度は「インストラクション場面」の2アングル⇒令和4年度は「マネジメント場面」の2アングルを収録し,調査を実施できたため,令和5年度は「相互作用行動」の2アングルを製作する予定である。 これまでの研究で,①参観者目線と②授業者目線の映像には,それぞれメリット・デメリットがあることが明らかになった。参観者目線では,教師の説明・指示が授業全体にどのように浸透しているのか,また児童がどのような目線で授業に臨んでいるかなどを見取ることができた。また,②授業者目線では,教師が児童全体に視線を配ることや児童の表情や理解力を見極めながらわかりやすい言葉を用いている教授行動を見取ることができた。よって,これらの2アングルの良さを活かして全体の授業ビデオの流れを途切れさせずに一つの映像の中に両者をミックスして,受講者に授業の全体進行を見取らせたい場面では参観者目線動画を用いて,教師が授業の様子を見取ったり双方向のやりとりをしている様子を見取らせたい場面では授業者目線動画を用いて,といったように,授業の状況と教授行動との関連を同時に見取れるような動画を製作する予定である。 また,令和5年度に第6学年の器械運動(鉄棒運動)で「相互作用行動」の映像を収録できる運びになっている。これが最後の収録場面と考えている。前期の中盤までに製作を終えて,前期の授業の最後までに早速活用していきたい。
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