研究課題/領域番号 |
20K02885
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
|
研究機関 | 奈良教育大学 |
研究代表者 |
宇田 秀士 奈良教育大学, 美術教育講座, 教授 (20283921)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 図画工作科 / 美術科教育 / 包括的な学び / 総合的な学習 / 「遊び」概念 / アートの拡がり / 内発的な動機付け / 造形遊び / 内発的な学び |
研究開始時の研究の概要 |
「遊び」概念を活かした図画工作・美術科の題材と「総合的な学習」,「ESD(持続可能な開発のための教育)」,「STEAM(科学・技術・工学・数学に芸術の発想を融合させた学び)」,「教科横断的な学び」などの「包括的な学習」との関係を整理・構築し,教科の特質と「包括的な学習」が融合した授業実践ならびにカリキュラムを提案する。 <「試行錯誤,領域横断的な思考」が織り込まれた「遊び」概念を内包する図画工作・美術科題材>の開発・実践・検証を継続するとともに,その題材を活かした「包括的な学習」モデル開発とその実践・検証を行い,教師教育プログラムに反映させる。
|
研究実績の概要 |
<課題1 図工・美術科題材と「包括的な学習」との関係性> テーマに関する言説や実践について,小中高などの現職教員である研究協力者の授業研究をふまえ,理論的な整理・考察の活動を行った。また,第二次世界大戦後の関西地方の「あそび」をふまえた美術教育活動の萌芽的な著作を残した沢野井信夫の構想や活動について,昨年度に引き続き,継続研究を行なった。沢野井の題材の現代的な展開を試行し,大学内の紀要二誌に発表するとともに,沢野井の題材における長谷川三郎の影響を考え,美術科教育学会兵庫大会にて口頭発表し,意見交換を行った。 <課題2 基礎研究に基づく題材及び授業モデルの開発と実践・検証> 小中高の教師との協働研究実施体制の場で<課題1>研究の成果をふまえ,幼小中高における「遊び」概念をふまえた<題材・授業モデル>開発を継続した。クラブ活動,総合学習などと絡めた図画工作・美術科の授業づくりを実践・検証した。具体的には,沢野井の題材を現代にアレンジした「写真」題材,「印画紙」題材,「手作りアニメ」題材,Box題材,「身体性を活かした版画」題材などである。また現代美術をふまえた題材として,展覧会開催に合わせた「具体美術」や「クリスト」の鑑賞・表現題材を開発した。メディア体験や社会問題とつながりをふまえ,子どもの試行錯誤,領域横断的な思考などの造形的な学びを取り入れた。 <課題3> 美術教師教育プログラムへの展開 課題1,2の成果をふまえ,<現職教員>と<プレ教師教育段階にある大学教育>のプログラムを開発・実施した。特に,経験年数の少ない現職教員に向けて,美術教育実践の根底にある教師の<意識>の視点を据え,これに留意しながら作成し,実施した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究スタートの2020年度,2021年度と新型コロナ感染症への対応で,国内外の出張調査を自粛するとともに幼小中高校教員の協力を得ての教育実践研究を控える,などしていたため,全体的に研究計画がずれ込んだ。 スタートの2年間は,資料・史料収集およびその内容整理など文献研究を中心にした基盤的な研究が中心となったが,2022年度は,感染症予防対策をしながら,研究協力者を通じての実践・検証を行ない始めた。ただ,国内外出張調査や研究協力者を通じての実践・検証についてのまとめ・発表は行なっておらず,「区分(3)」となった。
|
今後の研究の推進方策 |
<課題1>に関しては,新型コロナ感染症予防対策をしながら国内外の対面での出張調査を実施するとともに,リモート調査を併用させて対応する。そして,<アート概念の拡がり>を根底においた「包括的な学習」を考察するために,ドイツ・ハイデルベルク教育大学のウアラス教授(Mario Urlas)の初等教育における実践・提案の整理を行う。また,第2次世界大戦後の関西地方における「遊び」に関する美術教育実践に関連させ,沢野井信夫の美術教育発表著作について,1950年代から60年代の民間美術教育運動や長谷川三郎の一般向け著作と関連させて考察し発表する。沢野井や長谷川の著作に見られる美術教育と子供を取り巻く社会や生活との関わりは,現在の教育課題にも大きな示唆があると見込まれる。 <課題2>に関しては,「遊び」概念をふまえた<題材・授業モデル>開発を継続するとともに,教科の特質と「包括的な学習」が融合した授業実践ならびにカリキュラムについて研究協力者と継続した討議を行い,各勤務校において試行的な実践をし,考察をする。 <課題3>に関しては,課題1,2の成果をふまえ,<現職教員>と<プレ教師教育段階にある大学教育>のプログラムを開発・実施する。これまでに引き続き,経験年数の少ない現職教員に向けて,内容を検討し,実施する。
|