研究課題/領域番号 |
20K02888
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
吉村 直道 愛媛大学, 教育学部, 教授 (90452698)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
|
キーワード | 構成的な学習 / 教授的な学習 / 理解の定着 / 話し合い / 数学教育学 |
研究開始時の研究の概要 |
昨今の学校教育において,ALの重要性が主張されているが,数学の学習において,教師の理解を解釈しそれをもとに概念構成する問題解決的な学習は,子どもたち同士が話し合い社会的相互作用しながら問題解決する学習よりもその価値は低いのであろうか? 本研究は,学習者同士の話し合いを重視した「構成的な学習」と教師による解説を中心とした「教授的な学習」を通常の教育活動の中に取り入れ,そのときの学習内容が数年を経てどの程度記憶に留まり,それらの理解がどのように変容しているかを,小・中学生に対して調査する。
|
研究実績の概要 |
2022(令和4)年度に計画していた本研究に関わる特設授業,小学校4単元(各3クラス),中学校2単元(各4クラス)の内,中学校の1単元を除いてすべて計画通り実施することができた。加えて,予定していたアンケート調査小学校1回(6年生3クラス),中学校2回(1年生1回,2年生1回)も計画通り実施することができた。実施できなかった中学校1単元の特設授業は,協力校の学校行事と授業の進展状況との影響から,先方からのキャンセル依頼のためであり,協力校の事情を考慮しながらの研究遂行が基本であるため,致し方のない変更であった。 アンケート調査では,「比例のグラフ」(小6),「最短経路の作図」(中1),「速さ」(小5)の授業に対して,1年後どのようにそれらの学習内容が理解されているかについて調べた。その結果,授業の印象度「そのときの授業をどの程度覚えているか?」については,教授的な学習,構成的な学習いずれも同じような傾向で捉えられているものの,構成的な学習は「よく覚えている」という印象が残りやすい反面,「覚えだしにくい」「覚えていない」という感覚も若干教授的な学習の割合よりも多いことがわかった。また,簡単な問題が確実に解くことができるかについては,こちらも同じような傾向でその分布はあるものの,どちらかと言うと教授的な学習の方が正解に至っている割合はわずかばかり多い結果となった。授業において共有した学習内容に関する根拠については,構成的な学習の方が教授的な学習と比べてのその定着の割合は多かった。ただし,自分たちで考えたことであるので,定着もしやすい一方で変更もしやすい傾向にあることがわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は,令和2年度を1年目とするものであったが,令和2年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて,研究協力校に特設授業をお願いすることが出来なかった。そこで基本的に,1年分研究計画を後ろにずらして取り組んでいる状況である。すなわち,研究3年目である今年度は研究2年目の内容に取り組んでいるところである。1年分の遅れではあるが,その中では計画通り進んでいる状況にある。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度,2023(令和5)年度においては,小学5年生を対象に11月と2月に2単元分,小学6年生を対象に6月と11月に2単元分,中学1年生を対象に12月と1月に2単元分の特設授業の実施を計画している。加えて,小学6年生に「速さ」(小5)の1年後調査を,中学1年生に「比例のグラフ」(小6)の1年後調査を,中学2年生に「最短経路の作図」(中1)の1年後調査を,中学3年生に「柱体の体積」(中1)の2年後調査を実施する予定である。 3単元「速さ」(小5),「比例のグラフ」(小6),「最短連結の作図」(中1)について,2022年(令和4年)度に行った1年後調査の結果と,調査対象者が異なる令和5年度に行う1年後調査の結果を比較して,二つの学習のしかたの違いによる1年後の理解の変容についてその考察をまとめる予定である。また,「柱体の体積」(中1)の2年後調査を,2023年(令和5年)に行う予定であり,2年後の理解の変容についても一つの考察をまとめる予定である。 これらの研究成果を,2023年6月24・25日に開催される全国数学教育学会第58回研究発表会(於:広島大学)にて発表する予定である。
|