研究課題/領域番号 |
20K02905
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
三石 初雄 東京学芸大学, 次世代教育研究センター, 名誉教授 (10157547)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 知的好奇心 / 内発的自発性 / 価値選択的課題 / 授業研究 / 知的好奇心と他者交流 / イリオモテヤマネコ / 韓国のヤマネコ / コンピテンシー / 教師の力量形成 / 校内研究 / 西表島 / 義務教育学校 / 子どもと自然 / 環境教育 / 原体験教育 / 授業比較研究 / 学校論 / 科学教育 / SDGs / 国際比較研究 |
研究開始時の研究の概要 |
①コンピテンス概念を初発の提起から原理的検討を進める。 ②イリオモテヤマネコ保全教育を対象とした価値選択的課題に焦点を当てた義務教育段階における実践的研究の可能性と課題を明らかにし、教育課程編成の原理的考察を行う。具体的には、西表島の全小・中学校への出前授業と先駆的学校での取り組みを基に、イリオモテヤマネコの野生生物保全教育に即して「価値選択的課題」プログラムを試作・試行し、その意味をESD/SDGsの観点を加味し検証する。 ③韓国ヤマネコの生態と保全教育活動の調査並びに研究協力者との意見交換のために韓国と中国に訪問調査あるいは研究協力者の訪日による公開研究会等を年に1~2回程度実施する。
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研究実績の概要 |
研究のまとめにあたり本研究の基本枠組みに即して次の4小課題に即して研究を進めた。 1つは、今日の学校教育におけるコンピテンシー/コンピテンス概念に関わる理論的実践的研究成果の整理を行った。具体的には、①「内発的自発性」に関しての理論的研究を進め、人の生後間もない時期からの感覚的並びに認知的「違和感」に関する研究成果を整理し、②1970年代以降の「知的好奇心」に関する理論的到達点をまとめた。③そこでは、「知的好奇心」の発生と展開過程においては、信頼しうる他者との交流関係の存在と言語的・概念的な学習過程の必要性が示唆されていることを明らかにした。 2つには、「知的好奇心」を教育実践活動の展開時の積極的条件整備としては、①意図的な教育的課題の提示の必要性があることを再確認するとともに、②とりわけ”自然と人間の共生関係”を価値選択的課題として捉える上での配慮事項を整理した。③具体的には、前年度アクションリサーチ的研究で参画した2つの小学校校内研究において、年間5-6回恒常的に参画し、「知的好奇心」並びに「価値選択的課題」への授業実践での留意事項を整理した。 3つには、沖縄本島並びに西表島周辺の野生生物に関する基本研究成果を収集し、整理し、教材、授業参考資料になり得る資料の資料整理にあたった。具体的には、戸川幸夫、安間繁樹、盛口満、林竹二氏らの著作、講演資料等の収集と内容整理を行い、具体的授業資料の選定と教材化を進めた。 4つには、昨年度に引き続き、韓国ヤマネコの生態と保全教育活動の調査並びに研究協力者との対面での聞き取り調査を実施した。その結果、①韓国国内においても野生生物(ヤマネコ)の保全とその教育的意味の普及活動の実際が明らかになり、②今後、韓国と陸続きの中国東部の実情について調査する必要性も出てきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.イリオモテヤマネコと西表島の自然・生物に関しての基本的な文献/資料の概要を把握することができた。 2.「イリオモテヤマネコと西表島」に関する授業教材、授業参考資料の構成を作成し、そのための図書・資料の紹介箇所のめどをつかむことができた。 3.しかし、イリオモテヤマネコに関する生物学研究者との最終的な聞き取りによる、確認と、西表島内の現地教員・教育関係者との意見聞き取りが十分できていない。 4.全体的には、沖縄/西表島並びに韓国ヤマネコ調査のための渡航が必ずしも予想通りには実現できていないために、本研究計画を1年間延長する手続きを取った。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の基本枠組みに即して、最終年度として、次の課題に取り組む。 1つは、「知的好奇心」に留意した理科教育実践の取り組みを、『理科の教育』『理科教室』等の論考、実践報告から整理する。とりわけ、「知的好奇心」に言及している真船和夫の著作の検討を行う。 2つには、「知的好奇心」を教育実践活動の典型的事例を基に、具体的な子ども/青年における「知的好奇心」の成立・展開(拡張と減衰過程)に関する実践分析を行う。その分析対象としては、子どもと自然の関連が今日より多様に一般的に行われていた1960-70年代の理科教育実践並びに「子どもと自然学会」における諸実践の検討を予定している。 3つには、沖縄本島並びに西表島周辺の野生生物に関する研究者並びに教師への聞き取りと現地調査を行い、現在構想している報告書の構成を再検討する場を設ける。具体的には、沖縄国際大学の盛口満氏らの聞き取りと研究成果の収集と検討を行う。 4つには、韓国ヤマネコの生態と関わって、中国のヤマネコに関する生態研究並びに「緑色教育」(=環境教育)の実践的研究の概要を把握する。そのために可能であれば韓国・京畿道並びに中国・東北師範大学へでの聞き取り調査を行う。
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