研究課題/領域番号 |
20K02916
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
鈴木 慶子 長崎大学, 教育学部, 教授 (40264189)
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研究分担者 |
劉 卿美 長崎大学, 言語教育研究センター, 教授 (00346941)
宮本 友弘 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 教授 (90280552)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 手書き / 聞き取り / 理解 / 発達 / 認知 / 書字 / 視写 / 過程 / 音読 / 書字過程の定量的測定 / 測定ツールの開発 / 発達障害児 / 読み書き障害 / 検査 / デジタル先進国 / 音読の介入 / タイピング / 書字随伴型学習 / 書字速度 / 書字の停留地点 / 書字の停留時間 |
研究開始時の研究の概要 |
2016年秋からフィンランドの小学校では、タイピングが必修、手書きは選択とする教育課程が実施されている。ノルウエーの小学校では、現在、文字を手書きさせる教育を先に行うか、タイピングを先に教育するかは、教師の裁量に任されている(家庭への制御はしない)。 日本は世界で最も手書きを重視する教育課程が実施されている。文字を手書きする時間(国語科書写)が9年間も必修として位置付けられ、ほとんどの教科が「書字随伴型」の学習方法を実施してきている。今後はどうなるであろうか。 日本の社会生活においても手書きが激減しているが、学習における手書きの効果を実証研究した上で教育課程での位置づけを考究することとする。
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研究実績の概要 |
コロナ感染の影響により、計画調書提出時に計画していた海外での実地調査を実施できていない。これについては、感染リスクを考慮して断念することとした。その代わりに、下記3点を実施した。①既存の調査データ(公立小4年生並びに附属中1年生対象)の再解析と再解釈、②海外の手書きに関する研究の捜集と解釈。③書字データ採取解析にカスタマズしたアプリケーションの開発。 ①の結果、下記がわかった。【量的指標の比較】a.聞き取り課題の難易度にかかわらず、中1生は、小4生よりも、多くの字数で手書きメモを生産する。b.調査参加者の学年にかかわらず、メモ筆記に投入する時間が多いほど、生産される文字数は多くなる。c.メモしている際の筆記速度は、中1生も小4生もそれほど差はない。【話の理解度の比較】d.難易度の異なる2課題について、中1生は、小4生よりも、どちらも理解度が高い。e.小4レベル聞き取り課題では、中1生はほとんどの生徒が満点をとった。中1生にとっては、易しすぎたといえる。f.中1レベル聞き取り課題では、小4生は満点をとった児童は1人もいない。理解度 50 %未満の児童が全体の7割以上いる。小4生にとっては、かなり難しい課題であったといえる。【手書きメモと理解度の関連】g.小4生では、手書きメモの文字数が多いほど、理解度テストの得点率が高くなる。この時期の児童にとっては、メモを取ること自体、あるいは、自らが作成したメモを参照することが 理解を促進する。h.中1生では、手書きメモの文字数の量的な変動は、理解度を促進しない。今回の調査課題が易しすぎて、メモの効果が現れにくかったかもしれない。あるいは、メモの量より、質が重要になるかもしれない。 ②北欧の低学年の調査結果が発表されつつあり、さらに詳細に追跡を続ける方法を模索中。 ③開発したアプリケーションを活用した調査を、次年度に実施する計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画調書提出の時点で計画していた海外調査を1年間延期してきたが、基礎疾患を有するメンバーのコロナ感染を回避することを優先して、12月上旬時点で断念した。その代わり、書字基礎データ採取分析にカスタマイズしたアプリケーションを作成することとした。アプリケーション作成について、12月中旬に業者に発注し、試作での点検を経て、3月中旬に仮納品された。そのため、このアプリケーションを活用したデータの採取並びに解析は、翌年度の行う予定として、研究期間を延長した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年3月中旬、書字データ採取解析にカスタマイズしたアプリケーションが仮納品された。その使用契約について、現在手続きを進めている。締結完了後、速やかに、書字データの採取並びに解析を行う。 調査の条件としては、メモ取りにおける書字の質的な意味に迫るアプローチとする。まずは、大学生の同一人物(10人程度)を対象として、①視写(課題内容:専攻分野)、②視写(課題内容:非専攻分野)、③メモ取り(課題内容:専攻分野)、④メモ取り(課題内容:非専攻分野)のデータを採取し、解析を行う。 その結果及び解釈について、学会発表並びに論文投稿等を行う。
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