研究課題/領域番号 |
20K02929
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 活水女子大学 |
研究代表者 |
田渕 久美子 活水女子大学, 健康生活学部, 教授 (70259703)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 修復的正義 / 修復的実践 / 修復的サークル / 対話 / 修復的サークル対話 / こどもの哲学対話 / サークル / 生徒指導 / 学級活動 / 市民性教育 / 生活指導 / ピースメーキング・サークル |
研究開始時の研究の概要 |
子どもたちが,学校における子ども間の葛藤・対立(conflict)やいじめ問題に現れるような人権侵害といった問題を解決することができるような資質を身につけるために重要な「対話」に焦点を当て,修復的包摂的な学校をつくるための指導原理と方法の開発を行うことを研究の目的とする。 「対話」によって違いを認め合い,人間関係に問題が起こればそれを修復しようとする資質は,市民的資質と呼ばれるものと重なる。教師が意図的に「対話」を促す場を作る実践を通して,学級のあり方は変容すると考えられる。小学校での実践研究や,サークル対話が根付いているオーストラリア・クイーンズランド州の調査を元に,指導のあり方を探究する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、小学校でのサークル実践についての研究を継続したほか、大学生を対象としたサークル実践を行い、その結果を大学の紀要である活水論文集に発表した。この論文では、対話を進めるにあたり参加者が自分の思いを表現する際に重要な条件である「安全感」に着目し、サークルの形で対話を行うことが初めての経験であっても安心感や安全感を得られることを検証することができた。サークル対話の経験を参加者が、「楽しい」「温かい気もち」などの肯定的な感情を伴う経験として認識しており、サークル対話の前は「憂鬱」と感じていた参加者も対話への参加を通して感情が肯定的なものへと変化していた。これはサークル対話に、話す権利が保障されていること、トーキング・ピースを用いることで他者の発話を傾聴するというルールや顔が見える円という互いに対等な関係を象徴する座席等、対話のルールがあることによると考える。このようなルールをもとに対話を積み重ねていくことで、参加者相互の信頼感が高まれば、対話の内容もネガティブな感情を表出し受容することも可能になるであろうことが示唆された。 台湾の国立台北大学と教育省の共催によって行われた国際いじめ防止シンポジウムに出席し、いじめ防止に修復的実践が貢献することや日本でのいじめの実態について報告した。またその際に、学校での修復的実践に関する韓国や台湾の状況を知ることができた。 また、修復的対話実践に取り組んでいるNPOの主催者と連携し、学校で修復的対話を実践する会をつくり、運営にかかわっている。その際、全国各地での対話の実践について情報交換をすることができるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画にしていた海外でのサークル実践についての調査ができていない。また校務が多忙で研究のための時間が思うように取れない。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、韓国での聞き取り調査を予定している。Korea Association for Restorative Jestice のChair personであるLee Jae Young氏が取り組んでおられる修復的実践を普及する取り組みと、実際に実践をされている小学校の先生に、サークル対話の取り組みについて聞き取り調査を行う。国や文化が違っても、指導方法としての価値を認められている修復的サークルの取り組みについて、子どもを市民として育てることへの価値を見いだすことができると考える。また、これまでの情報収集で、オーストラリアや台湾の実践の状況を多少把握することができたが、台湾と比較して、韓国の状況は、国が政策として修復的実践や少年司法における修復的司法を取り入れていないため、日本の状況に近い部分があり、自発的に実践をする教師の意識を探るうえでも調査をする意義があると考える。
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