研究課題/領域番号 |
20K02939
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09050:高等教育学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
北田 雅 京都大学, 経済学研究科, 講師 (00422949)
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研究分担者 |
後藤 励 慶應義塾大学, 経営管理研究科(日吉), 教授 (10411836)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 生活充実度 / 友人数 / 最低修業年限 / 卒業 / 単位取得 / 留年 / Sense of coherence / 教学データ |
研究開始時の研究の概要 |
文部科学省発表の学校基本調査により、約2割の学部学生が留年するという傾向が40年以上続いていることが判明している。本研究は心理尺度との関連性を解析することにより、将来留年や単位取得状況の悪化に至る可能性の高い学生を抽出する方法を確立することを目的とする。心理尺度としては大学入学時の首尾一貫性Sense of coherence (SOC)を用い、これに入学3ヶ月後の学生生活実態調査の属性も加味する。これらを独立変数、最低修業年限内の卒業の可否や各年次終了時の単位取得数という学修状況を従属変数とするロジスティック回帰分析、あるいは重回帰分析等の回帰分析を行い、予測式を得る。
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研究実績の概要 |
学部学生の留年は大きな問題として捉えられており、約2割、あるいはそれ以上の学部学生が留年するという傾向が40年以上継続している(文部科学省学校基本調査)。本研究は、将来留年や単位取得状況の悪化に至る可能性の高い学生を抽出する方法を、心理尺度との関連性を解析することにより開発することを目的としている。調査対象学部においては入学3ヶ月後の学生生活実態調査を行っており、本研究では同調査の属性分析に加え、当初心理尺度として首尾一貫性Sense of Coherence(SOC)を加える予定であった。しかし、令和2年度の新入生オリエンテーション中止に引き続き、令和3年度もまた新型コロナウイルスの影響を受け同オリエンテーションが短縮されたことが主因となり、SOC調査の実施が不可能となった。本研究は学部執行部の協力の元に行うInstitutional Research(IR)であるが、新型コロナウイルスによるオンライン授業等、学部学生全般の抑うつ傾向発症が懸念されたことから、学生のメンタルヘルスが大きな問題となった状況を鑑み、令和3年度の学部執行部の意向によりCES-D(うつ病 (抑うつ状態)自己評価尺度)に切り替え、上記学生生活実態調査と共に実施した。 2014年度学生生活実態調査の属性とその後の学業成績、および卒業可否について取りまとめた論文については、友達がひとりではなく複数人いることが学生生活の充実度を増し、それが単位取得状況や修業年限内の卒業可否に好影響を及ぼす可能性が示唆される結論が得られた(『学生相談研究』第43巻第2号,pp.159-170. (2022))。2015年度以降の入学者の学生生活実態調査と学修状況の関連性についても解析を進め、既に4学年分のデータが揃っているため、別途予測式を立て危険性の高い学生の抽出と介入行い、介入効果を分析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査対象学部においては、入学3ヶ月後以内に学生生活実態調査に関するアンケート調査を実施している。これについて、2014年度の調査結果と最低修業年限である4年間における卒業可否について、関連性を分析した。各項目における回答と卒業可否状況の比較においては、χ2検定、または、Fisherの正確検定を行った。全学共通科目および学部専門科目の修得単位数の平均の有意差検定についてはWelchのt検定、または、Welchの一元配置分散分析を行い、下位検定はRyan法による多重比較を行った。その結果、授業以外の大学生活の充実度が、最低修業年限内の卒業の可否に影響を及ぼす可能性が示唆された。また、大学入学後半年間までにできた友人数は、大学入学後半年間までの授業以外の大学生活の充実度に影響を与えることも示唆された。これらのことから、入学早期に学生同士の関係構築を支援する方法を講じることが、留年発生の防止策となり得ることが考えられた。(「入学早期アンケート調査による最低就業年限内卒業可否に影響する因子の分析」『学生相談研究』第43巻第2号,pp.159-170. (2022))2015年度、および2016年、2017年度、2018年度の入学者の学生生活実態調査と学修状況についても、解析を進めている。また、2か年分のCES-Dの調査結果についても解析を進め、興味深い結果を得ている。今後は学生生活実態調査と学修状況との関連性について更に検討を進める予定としている。なお、CES-Dの高得点者については、個別に注意喚起を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は調査対象学部執行部・事務部との連携したInstitutional Researchとして企画されている。前述のとおり首尾一貫性Sense of Coherence(SOC)に換えCES-D(うつ病 (抑うつ状態)自己評価尺度)調査を行っているが、2か年分のCES-Dの調査結果の解析により興味深い結果を得ていることから、今後は学生生活実態調査と学修状況との関連性について更に検討を進める予定としている。CES-D、および学生生活実態調査の属性分析結果を独立変数、最低修業年限内の卒業の可否を従属変数とするロジスティック解析、あるいは各学年終了時の単位取得数を従属変数とする重回帰分析を行う。また、コロナ禍は学生生活に大きな影響を与えていることから、学生生活実態調査の結果も大きな変化が観られた。学生生活実態調査結果の変化と留年・学修状況の変化について、コロナ禍前卒業、コロナ禍期間中卒業、コロナ禍後入学・卒業の3群に分け、解析を行う。
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