研究課題/領域番号 |
20K02945
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09050:高等教育学関連
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研究機関 | 十文字学園女子大学 |
研究代表者 |
永作 稔 十文字学園女子大学, 教育人文学部, 准教授 (20447246)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 動機づけ面接 / キャリア発達 / 就職活動 / 進路未決定 / モチベーション / キャリア教育 / 大学生 / 自己決定理論 / 高等教育 |
研究開始時の研究の概要 |
2011 年大学設置基準改正で職業指導が義務化された。これに伴いキャリア教育が教育課程に位置づき量的拡大を果たしたが,その質は玉石混淆である。しかし,大学教育である以上,「学問」との接点をおろそかにしてはならない。よって,学問の場で学ぶ大学生のキャリア発達とは何か,その促進はいかにあるべきかを考え,実践することが急務とされる。そこで,本研究では大学教職員の教育・厚生補導業務における学問融合型キャリア発達モデルの構築と,実践のための面接技法の開発を試みる。またそれを普及するための教材となる動画を作成する。これにより,学問融合型キャリア発達モデルと面接技法の確立することができる。
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研究実績の概要 |
本研究は高等教育機関で学ぶ大学生のキャリア発達とは何か,またその発達をどのように促せばよいかという課題に取り組んでいる。そして,学問融合型キャリア発達モデルを構築すること,また大学教職員が学生の支援に活用することができる面接技法を開発することを目的としている。 令和4年度には主に文研調査から学問融合型キャリア発達モデルについての構築を行った。その結果,以下のことが明らかになった。①大学生のキャリア発達は,入学から初期適応までの「なじむ」段階に始まる。②その次の段階は学問に接して学びを得て視野が広げられていく段階である。これを「広げる」段階と名づける。③さらに学びが進むと学部学科レベルの大きな学問体系のなかから,さらに専門的な領域を選んでいく「えらぶ」段階になる。この段階は,自らのキャリアデザインに照らして専門領域を選ぶことになるため,大学卒業後の自らのキャリアを選択することに重なる。たとえば理工学系など自然科学系の学部で学ぶ学生であれば研究室の選択がその後のキャリアにダイレクトにつながっていくことになる。そのほかにも資格取得を目指すのかどうかという選択も生じる。たとえば教職課程で学び続けて教育職員免許上の取得を目指して教員としてのキャリアを歩むことを選ぶのか,それとも教職課程は選ばずに大学での学びを一般就職などのキャリアで活かしていく道を選ぶのかを選択するといった状況である。④さらに,最終段階として「まとめる」段階がある。これは,大学卒業をのキャリアと大学での学びを統合していく段階である。 以上の成果から,今後検討すべき介入のポイントは主に2点であると示唆される。一つは初期適応の「なじむ」段階であり,もう一つは「えらぶ」段階である。今後はこれらの成果をもとに,「えらぶ」段階の支援についてさらに検討を進めていくこととする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来は研究計画の3年目にあたる令和4年度末の時点で面接技法の効果検証まで研究を進める予定で計画を進めてきた。しかしながら,学務負担と日本キャリア教育学会の事務局業務負担が想定よりも大きく重なったことにより,十分に研究が進んでいない。新型コロナ感染症の影響で2020年から2021年にかけて進める計画であった面接調査が進められなかったことも大きな理由のひとつとなっている。これらの想定外の局面によって十分に進められなかった部分については,実証研究から文献調査による理論的構築に切り替えることによって「学問融合型キャリア発達モデルの構築」を試み,一定の成果と実績を積み重ねているところである。
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今後の研究の推進方策 |
大学生が自分自身のキャリアデザインにとって,大学での学びがなぜ必要なのか,就職活動を行うことがなぜ重要であるかということを考えて,自らのキャリアの文脈に位置づけるための介入技法について,動機づけ面接(Motivational Interviewing:MI)の理論に基づいて開発し,その有効性を検証する。対照群(ウェイティングリスト群:WL群)と介入群(MI実施群)との比較により介入群の動機づけと行動指標に向上が見られるか,実証的な検討を行う。これを大学3年生を対象に,令和5年度の秋から冬にかけて実施する。 さらに,これらの介入技法を大学教職員が活用できるように,成果の普及を目的とした教材動画を作成する。動画の作成にあたり,WEB等で幅広く公表していくことを視野に役者を用い,撮影や動画編集も専門業者に委託する。これを令和5年度後半にかけて行う。
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