研究課題/領域番号 |
20K02958
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09050:高等教育学関連
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研究機関 | 金沢大学 (2021-2022) 富山短期大学 (2020) |
研究代表者 |
篠田 隆行 金沢大学, 先端科学・社会共創推進機構, 准教授 (60846591)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 私立大学財務 / 特定資産 / 大学経営 / 高等教育進学率 / 新型コロナウィルス / 学校法人会計基準 / 高等教育進学 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、18歳人口の著しい減少は、財政的な経営基盤の大半を学費収入に依存してきた多くの私立大学に対し大きな影響を及ぼしている。 本研究では、日本の高等教育システムが大きく変容する過渡期において、高等教育への進学率向上という点で量的供給における国立大学の補完機能を担ってきた私立大学の財政面、とりわけ内部留保に着目するとともに、高等教育に進学する際の地域移動の動態を分析することにより、18歳人口の減少をはじめとする外的要因への対応能力について解明し、私立大学の存続価値の再検証及び理想とする財務基盤モデルを提唱することを目指す。
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研究実績の概要 |
我が国の18歳人口の著しい減少は、財政的な経営基盤の大半を学費収入に依存してきた多くの私立大学に対し大きな影響を及ぼしている。その一方で、国立大学は平成16年の法人化後、各大学で様々な改革が実施され、その帰結として、経営の効率化を趣旨とする一部の大学間の統合が実現されつつある。 このような状況は、高等教育への進学率向上という点で量的供給における国立大学の補完機能を担ってきた私立大学にも大きな影響を及ぼし、我が国全体の高等教育システムの変容をも意味している。仮に国立大学法人の経営統合が加速し、国立大学の存在しない自治体が出現することになれば当該都市の衰退につながる事態も想定され、地域における私立大学の存在意義も大きく変容するのは自明のことである。 そこで本研究では、日本の高等教育システムが大きく変容する過渡期において、各私立大学の財政面、とりわけ内部留保に着目するとともに、高等教育に進学する際の地域移動の動態を分析することにより、18歳人口の減少をはじめとする外的要因への対応能力について解明し、私立大学の存続価値の再検証および理想とする財政基盤モデルを提唱することを目指している。 そして、研究目的の達成のため、以下に示す3つの課題を設定している。1.私立大学の内部留保の平成27年度から令和3年度までの7カ年の増減推移を検証し、存続価値としての経営の安定度の解明。2.東京23区私立大学の定員抑制がもたらす、進学行動と地域移動の解明。3.都道府県ならびにエリアにおける影響の解明、の3点である。 さらに、研究期間の令和2年度ならびに令和3年度は、新型コロナウィルス感染に伴い高等教育機関への進学事情が大きく変容する事象が発生したことから、分析する対象を拡大し、各私立大学の財務行動、ならびに18歳人口の高等教育進学の変容を追加的課題として調査・研究している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の対象となるデータの取得は令和4年度分まで予定通り整備した。 一方、個別具体的な事例についてのヒアリング調査を予定していたが、新型コロナウィルス感染に伴い、インタビュー調査の実施ができていない、ただし、今度の研究期間内に実施することで補完可能な範囲である。 また、新型コロナウィルスの感染に伴う影響は、本研究のテーマに大きく関係することから、当初の計画では、私立大学の令和元年度までの財務データを基に分析する計画であったが、研究成果の更なる効果をあげるために、令和2年度以降のデータも追加で検証している。なお、データの収集については、従来の方法と同様で実施することが可能であることから研究遂行においては全く問題ない。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度において整備された対象期間の財務データに基づき、私立大学の内部留保の8カ年の増減推移についてその動向を分析することに加え、新型コロナウィルス感染により、高等教育機関への進学行動にも影響することが推察されるため、収集する財務データの対象期間を拡大する。 具体的には、令和4年度の決算数値を追加し、各私立大学が新型コロナウィルス感染に伴い、特定資産をはじめとする内部留保をどのように活用したか、あるいは学費問題にいかに対応したのかを解明する。 さらに財務行動において特筆すべき安定度を有する大学法人を抽出し、実際に財務・入試両者の実務担当者に内部留保構築への意思決定プロセスや計画の有無をヒアリングすることでその戦略を明らかにすることを計画していたが、それに加え、新型コロナウィルス感染に伴う意思決定ならびに戦略の変更等についてもヒアリング項目として追加する。
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