研究課題/領域番号 |
20K02994
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
藤野 博 東京学芸大学, 教育学研究科, 教授 (00248270)
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研究分担者 |
米田 英嗣 青山学院大学, 教育人間科学部, 准教授 (50711595)
日戸 由刈 相模女子大学, 人間社会学部, 教授 (40827797)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 認知特性 / 言語コミュニケーション / 選好性 / 言語 / コミュニケーション |
研究開始時の研究の概要 |
自閉スペクトラム症(ASD)の人たちは弱い中枢性統合という認知特性をもつ。いわゆる「木を見て森を見ない」認知の特徴である。それは従来、認知機能の障害とされたきたが、ASD特有の認知スタイルとして捉える観点が近年注目されている。それはASD者の認知特性を能力としてだけでなく好みの問題としてみる視点につながる。ASD児の定型発達者とは異なる言語、コミュニケーション、学習のスタイルや好みを明らかにできると、特別支援教育や合理的配慮の新たな展望が開けるだろう。そのような問題意識のもとに、本研究はASDの小学生および青年を対象とし、認知特性と言語コミュニケーションにおける選好性との関係について検討する。
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研究成果の概要 |
自閉スペクトラム症(ASD)児の言葉の選好性について調査し、認知特性との関係を検討した。(1)ASD群は定型発達(TD)群よりも好きな言葉をもつ児童が有意に多かった。また、ASD群では、二次誤信念課題を通過した児は心に言及した詩を好む子どもが有意に多かった。このことより、ASD児の言葉の好みは特に心の理論の発達に関係することが示唆された。(2)また、自閉症の特性が強いほど丁寧な言語表現を選ぶ傾向がみられた。さらに、中枢性統合の課題において、局所に注目しやすいASD児は詳細な言語表現を選ぶ傾向がみられた。これらの結果からASD児とTD児は言語表現に関して異なる選好性をもつことが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、神経多様性の概念とともに弱い中枢性統合のようなASD児者の認知特性をネガティブなものとしてだけでなく認知や行動のスタイルとして中立的に捉える視点が現れている。そのような動向の中で、ASDの特性を機能の欠損でなく選好性の偏りとして捉える考え方が注目されている。ASD者の特性を障害でなくスタイルや好みという視座から捉え、その特徴を明らかにすることは神経多様性に関する実証研究となる。そして、理解や表現の仕方の多様性に児童生徒が気づき、異なる観点同士の相互交渉が生じることから対話的で深い学びが創発される効果が期待でき、インクルーシブ教育の在り方に関する新たな提案となる可能性を有する。
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