研究課題/領域番号 |
20K03017
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
小林 秀之 筑波大学, 人間系, 准教授 (90294496)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 視覚障害 / 合理的配慮 / 修学支援 / 大学 / 大学生 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,視覚に障害のある学生の修学支援の内容(合理的配慮)を決定するプロセスと関連させながら,その支援の効果を検証しようとするものである。修学支援の内容の決定に当たっては,個々の学生の障害の状態や特性,ニーズを十分に把握した上での,在学中のみならず卒業後社会生活を見越した支援を視座としている。大学における教育的側面として,障害学生の成長に結びつく修学支援のあり方を検証するものである。
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研究実績の概要 |
本研究は,視覚に障害のある学生の修学支援の内容(合理的配慮)を決定するプロセスと支援の実施に当たって,視覚に障害のある個々の学生の障害の状態や特性・ニーズを把握した上で決定する支援内容の効果を検証することを目的としている。 所属大学においては令和2年度に引き続き令和3年度に関しても新型コロナウイルス感染症の感染拡大が継続している状況等を踏まえオンライン授業の実施が求められた。この 状況の中で,点字を常用する視覚障害学生への修学に関して,コロナ禍以前から用いられていた履修登録を行う教育情報システム(TWINS)及び学習管理システム(manaba)については,特段の困難はなく使用することができた。一方,オンライン講義を行うMicrosoft TeamsやZoomの使用に関する課題の整理と対応を令和2年度から継続して検討し,受講に当たっての授業担当者への特別な配慮の依頼に関しては,従来の対面式の授業での依頼に加える内容は見いだせなかった。加えて,普段から音声によりパソコンを使用している点字を用いている学生にとっては,オンデマンド講義動画の再生速度を上げて受講しても支障がなく,対面式の授業よりも効率的であることが示された。一方,保有視覚を最大限に活用する弱視学生に関しては,講義資料が確実に電子データとしては配付されるためにオンライン授業による特段の困難を訴える者はみられず,授業担当者への対面式授業で依頼している配慮内容に再検討する必要もないことが示された。令和4年度の春学期は,対面での授業を実施しつつオンライン授業の活用が推奨された。同年度の7月以降は,感染拡大防止に留意して対面での授業の実施となったが,コロナ以前に行われていた視覚障害学生に対する支援の内容と同様で大きな混乱はないことが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度春学期についても引き続きオンデマンド型オンライン講義が推奨され,オンライン授業に関する視覚に障害のある学生の修学上のニーズと それに基づく配慮については,一定の知見を得ることができたが,通常の大学生の修学状況とは大きく異なっていた。授業場面での合理的配慮の提供は,障害のある学生が配慮依頼文書の提出と合わせて自分の言葉で授業担当者へ依頼することにあり,このことが非常に重要であると考えている。一方,7月以降は,感染拡大防止に留意して対面での授業の実施となったが,視覚障害学生の受講にあたって大きな要素である配布資料の事前提供などは,コロナ禍において全ての学生に対する学習管理システムによる電子データ形式の配布が通常の状況となり,視覚障害学生の受講環境の改善に大きく貢献することとなる一方で,特段の授業担当者への依頼を必要とするニーズは把握できず,合理的配慮を受ける学生の変化や成長などを把握することはできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナ感染症の影響を中心として,視覚障害学生に対する支援内容を決定するための本人からの申し出と建設的な対話に基づく支援内容の検討と決定のプロセスを丁寧に整理していく予定である。
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