研究課題/領域番号 |
20K03031
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
高野 聡子 東洋大学, 文学部, 教授 (00455015)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 特別支援教育 / 知的障害 / 養護学校 / 精神薄弱児通園施設 / 精神薄弱児施設 / 特別支援学校 / 教室不足 / 特別支援学校設置基準 |
研究開始時の研究の概要 |
少子化傾向にもかかわらず、知的障害特別支援学校の児童生徒数は増加している。本研究では児童生徒数の増加がなぜ起きたのか、何が関係しているのかを明らかにし、児童生徒数が増加した現象を社会的文脈から明らかにする。また、児童生徒数の増加に対する抜本的な解決策を見出し、今後、インクルーシブ教育が進展する過程で知的障害特別支援学校がどのような役割を担ったらよいのかについて検討する。
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研究実績の概要 |
特殊教育時代の知的障害教育にとって昭和54(1979)年の養護学校義務制実施は転換期の一つである。そこで養護学校義務制実施前後の養護学校(精神薄弱)や特殊学級(精神薄弱)においていかなる変化や課題が生じ、どのような解決策を選択したのかについて、単に特殊教育の動向を分析するのではなく、同時期の知的障害児・者の福祉の状況と課題に焦点をあてて検討した。 文献研究の手法で研究し、主に『精神薄弱者問題白書』と『精神薄弱の研究-施設における-』の2種類の資料を主な分析対象とした。前者の『精神薄弱者問題白書』は全日本特殊教育連盟、日本精神薄弱者愛護協会、全日本精神薄弱者育成会による共編著で、言い換えれば教育、福祉、保護者という3つの立場からその当時の知的障害児者にかわわる状況や問題がまとめられている。後者の『精神薄弱の研究-施設における-』は日本精神薄弱者愛護協会が発行し、精神薄弱児施設や精神薄弱児通園施設の職員等が施設での教育や福祉の実践例を発表しており、発行は第1集(1960年)~第18集(1984年)までである。 分析の結果、教育基本法、学校教育法、児童福祉法等の基本的法律が制定され、そして教育では「特殊教育ならびにへき地教育振興に関する答申」、福祉では「精神薄弱児対策基本要綱」等の答申や要綱が示されていた。それら2つの分野(教育と福祉)を横断的で系統的に分析することで当時の知的障害教育や福祉が抱えていた課題とそれへの対応策が明らになった。とくに昭和32(1957)年には精神薄弱児通園施設が児童福祉法に位置づけられ、就学猶予免除の対象となった精神薄弱児のための療育が行われていた。養護学校義務制実施前までの知的障害教育に与えた影響を、教育と福祉の動向を並列させて検討する必要性が明らかになった。なお、精神薄弱等は歴史的用語として本研究では使用した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
知的障害教育だけでなく、知的障害児の福祉に関する文献を研究で使用したため、分析対象となる資料数が想定以上に膨大になったが、一方で本年度は資料の整理や類型化を行うことができた。資料の内容については分析の途中であり、成果を発表するためにも継続的な研究が必要な状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画から変更が生じているが、本年度行った知的障害教育を取り巻く当時の動向や対策を明らかにすることを目的とした研究は、当初からの研究の目的に合致する。本年度の研究成果から、引き続き養護学校義務制実施前後の福祉の動向や対策についても、主たる現象のみならず丁寧にその現象の周辺にある史実の分析が必要であることが明らかになったため、今後これについても分析する。また、次年度は本研究の最終年度を迎えるため、今後はこれまでの研究成果をもとにまとめに着手する。
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